ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

(3)亜鉛と鉛の用途拡大の促進資源循環型社会の構築に向けて,非鉄金属の用途拡大については,既存の分野における需要拡大に加えて新規用途の拡大が必要である。亜鉛については,溶融亜鉛めっきは鋼材の防錆に最も有効な手段の一つであり,公共建築工事標準仕様書(国土交通大臣官房官庁営繕部監修)に溶融亜鉛めっき鋼材の利用に関する記載がなされている。特に,新規用途として期待されるインフラの長寿命化に資する溶融亜鉛めっき鉄筋については,その需要拡大を目指し,建築基準法の下,多数の溶融亜鉛鍍金会社が国土交通大臣認定や指定財団の評定を取得している。また,昨年度には(一社)日本溶融亜鉛鍍金協会が土木学会に委託し進めていた「亜鉛めっき鉄筋を用いるコンクリート構造物の設計施工指針(案)」が策定された。今後,溶融亜鉛めっき鋼材が高齢化するインフラの再整備や震災の復興等に使用されることを期待し,(一社)日本溶融亜鉛鍍金協会を通じて,溶融亜鉛めっき鋼材に関する幅広い活動を土木・建築分野に対し実施していくが,その活動に対し支援を要望する。鉛については,主要用途である鉛蓄電池は主に自動車内燃機関始動用として利用され,長い実績が蓄積されている。しかし,将来的に国内自動車販売台数が頭打ちになると見込まれ,鉛蓄電池の新規用途開拓が必要である。将来のCO2削減目標達成のためには再生可能エネルギーの利用率の向上が喫緊の課題であり,特に太陽光発電では利用率向上のため蓄電池を併設することが有効である。この蓄電池に,長い実用実績があること,安価であること,リサイクルシステムが確立されリサイクルの優等生であること等から,鉛蓄電池の利用促進を図るべきと考えているので,助成金の新規導入等を含めた支援を要望する。(4)副産物の用途拡大非鉄製錬スラグは,非鉄金属製錬(フェロニッケル,銅,亜鉛の一部)の副産品として,年間約550万~600万トン生産されている。その活用(販売)は,我が国の非鉄金属製錬の事業そのものに直接影響する極めて重要な課題である。近年,非鉄金属の世界的な需要の増大や原料鉱石の品位低下,更にリサイクル原料や廃棄物の増処理により,特に銅製錬スラグの発生量が増える傾向にある。これら非鉄製錬スラグを資源として,有効に活用し適切に処理していくことは,非鉄金属製錬業を健全に存続,発展させていくこととなり,我が国の資源セキュリティにとっても非常に重要なことである。そのために,以下の非鉄製錬スラグの用途拡大の推進に特段の支援を要望する。銅スラグや亜鉛スラグの一部は基本的にセメント製造に必要な鉄の原料として使われているが,国内セメントの需要は1996(平成8)年の約1億トンをピークに年々減少してきたことや,製鉄所産出ダスト等のセメント用鉄源量に押し出されて国内セメント向け原料が減少した。海外のセメント向け原料やサンドブラスト材向けの輸出が増加し,これらの輸送コストが増大してきている。そこで,2015(平成27)年度に日本鉱業協会の「非鉄スラグ製品の製造・販売ガイドライン」を改正し,2016(平成28)年4月から非鉄製錬各社がこれに沿った運用を開始した。また,2016(平成28)年4月にフェロニッケルスラグ及び銅スラグについてコンクリート用骨材としてJISを改正し,2016(平成28)年7月には土木学会で,2018(平成30)年12月には日本建築学会でコンクリートの設計施工指針を改定して頂き,コンクリート用骨材(天然砂の一部代替)への利用を強力に推進している。またフェロニッケルスラグは,路盤材料,サンドコンパクション材料,ケーソン中詰材料,また銅および亜鉛スラグについてもケーソン中詰材料など用途の拡大を図ってきたが,いまだ鉱山第785号2020年6月-12-