ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

よる支援措置の全体像」には,坑井掘削調査は約5年間の初期調査の段階から開始されることが示されている。また,これに続く約2年間の探査事業で噴気試験等を実施した上で資源量が確認され,地熱発電建設事業化が判断されることが殆どである。従って,作業許可は最低限2年以上必要であり,「原則として2年以内」では,十分な資源量評価ができず,新規地熱発電所の建設を行う事は極めて困難である。よって,保安林内作業許可の許可期間については,緩和または柔軟な運用を要望する。2.製錬業の国際競争力の強化(1)低廉で安定的な電力供給の確保東日本大震災以降,原子力発電所が相次いで停止し,電力会社の相次ぐ電気料金の値上げや,FIT賦課金の急拡大により,極めて重い電気料金負担が課されており,既に事業転換や大きな減産といった深刻な事態が現実のものとなっており,当業界の電力事情は一向に改善されず,むしろ悪化の一途にある。特にFIT制度については,現状で既に買取総額が3.6兆円まで拡大した中で,2030年に再エネ比率22~24%を買取総額4兆円以内で実現するというエネルギーミックス実現のためには,第5次エネルギー基本計画で掲げた「再エネの最大限の導入と国民負担の抑制の両立」の考え方の下,国民負担の抑制のためのあらゆる措置を総動員する必要とともに,賦課金の拡大に繋がる要素については徹底排除する姿勢が求められるところと認識している。このような中,エネルギーミックスで示された電源構成では,安全を大前提にエネルギーの安定供給の確保や環境適合への配慮がなされているが,他方,経済性の点では,産業界は電力コストを少なくとも震災前の水準に早期に戻すべきと主張してきたにも拘らず,電力値上げ後の2013(平成25)年度から僅か2~5%の引き下げに留まっており,不十分と言わざるを得ない。当業界の2018年度の電気料金は,震災前と比べると,電気料金単価では約39%も増加しており,年間では実に約156億円の負担増となっている。電気料金の高止まりが改善されず,当業界は企業体力を著しく損ない,当業界の製錬所は,事業存続の危機に晒されている。我が国のものづくりの基盤を支える非鉄金属製錬業の国際競争力の維持・強化を図るべく,低廉で安定的な電力供給のために以下の政策を強力に進めるよう要望する。1)低廉で安定的な電力供給のための施策の推進バランスの良い電源構成を構築し,国際的に遜色のない価格水準で安定的に電力を供給できるよう,安全が確認された原子力発電所の早期再稼働に向けたプロセスの最大限加速等,ベースロード電源を安定的に確保する施策を要望する。2)再生可能エネルギー賦課金減免措置の維持・拡大再生可能エネルギーの導入拡大に伴う賦課金の負担は年々増大しており,企業活動にも大きな影響を及ぼしている。特に,FIT賦課金の減免制度は,国際競争力維持・強化の制度趣旨から外れる業種や省エネ努力が不十分な事業所に対して減免率が8割から4割に引き下げられたが,電力多消費産業の当業界では,国際競争力の維持・強化を図るためにFIT賦課金の8割の減免措置は必要不可欠である。また,国民負担の行く末と再エネ導入拡大への影響を定量的に分析することが必要であり,再エネ事業者に係る情報開示の拡充も必要である。当業界の省エネ,省電力に係る継続的な取り組み実績,さらには非鉄金属素材の安定供給やリサイクル事業の推進,循環型社会構築といった我が国の産業発展や社会貢献に対する当業界の存鉱山第785号2020年6月-10-