ブックタイトル鉱山2020年4月号

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概要

鉱山2020年4月号

このように我々を取り巻く環境は厳しい状況にありますが,当協会としまして非鉄金属素材の安定供給を通じた豊かな社会の構築と,持続可能な循環型社会の構築という社会的使命を果たしながら,わが国の発展に貢献するべく,今年度は引き続き,以下の課題を中心に取り組んでまいりたいと考えております。第一の課題は「資源の安定確保」です。非鉄金属素材は国内の幅広い産業にとって必要不可欠なものとなっており,今後はIoTや5G時代の到来による次世代製品への用途拡大が期待される中,わが国の持続的な経済発展と豊かで質の高い社会の実現のために,資源の安定確保と製品の安定供給が当業界の社会的使命と認識しております。近年はインドネシアに代表される資源ナショナリズムの高まりや,国際的な資源獲得競争の激化に加え,鉱山開発の深部化・奥地化,鉱石の低品位化等によるコストや時間の増大化により,当業界を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。このような環境のもとにおいても,わが国の安定的な資源確保に向けて長期的な視点に立ち,積極的な海外資源開発が継続できるよう,引き続き独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC),国際協力銀行(JBIC),日本貿易保険(NEXI)等の政府系機関の機能強化・拡充など,一層の支援強化を要請してまいりたいと考えております。特に重要な施策としましては,「鉱業関係税制の維持,拡充」が挙げられます。2022年3月末には,減耗控除制度,海外投資等損失準備金制度の鉱業2税制が租税特別措置法上の適用期限を迎えます。これらの支援制度は長期的,かつ継続的な資源開発に必要不可欠なものであることから,業界にとって使用しやすく,効果のある総合的な鉱物資源確保支援につながるよう,発展的に改善することを目標に取り組んでいきたいと考えております。なお,3月末をもって廃止となります金属鉱業等鉱害防止準備金制度につきましては,近年日本各地で甚大な被害を及ぼす台風や豪雨などの自然災害が多く発生しているため,休廃止鉱山の維持管理等に関し,引き続き状況に合わせて柔軟な支援をいただきたいと考えております。また,現在経済産業省・資源エネルギー庁にて「新・国際資源戦略」の策定が進められており,当業界の要望も盛り込まれました。今後も業界として資源・燃料分科会などを通じて議論に加わり,資源の安定供給に向けての課題に取り組んでいきたいと考えております。さらに,資源外交についても,業界として積極的に協力してまいります。第二の課題は「電力問題」です。当業界は省エネルギー活動の推進に不断の努力を重ねておりますが,安全性確保が大前提となる原子力発電所の再稼働の停滞と,FIT制度(再生可能エネルギー固定価格買取り制度)における賦課金の上昇等により電力料金は高止まりを続けています。当業界が国際競争力を高め,わが国のものづくりの基盤である非鉄金属素材の安定供給や,循環型社会の構築といった社会的使命を果たしていく上において,国際的に遜色のない価格水準での安定的な電力供給は極めて重要です。この課題に対し,安全規制基準に適合した原子力発電所の早期稼働や,FIT賦課金の減免措置の維持・拡大,省エネ補助施策の継続などを通じ,電気料金の影響緩和と安定的な電力供給のための諸施策を鉱山第784号2020年4月-2-