ブックタイトル鉱山2020年2月号

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概要

鉱山2020年2月号

2019年度日本鉱業協会賞No.1(資源部会推薦)シエラゴルダ鉱山における選鉱操業改善について住友金属鉱山株式会社資源事業本部忰山卓矢住友金属鉱山株式会社資源事業本部山路悠太功績の概要シエラゴルダ鉱山は,チリ共和国Ⅱ州アントファガスタの北東約140kmに位置する銅・モリブデン鉱山である。2014年7月に選鉱操業を開始し,2014年8月及び2015年3月にそれぞれ最初の銅精鉱及びモリブデン精鉱を生産した。処理量は,操業開始から100千トン/日まで増加した後,しばらく停滞した。操業解析を実施したところ,主要因は,ベルトコンベア停止の頻発と各設備における工程内繰返し産物の増大であることが判明した。ベルトコンベア停止の主因であったベルト損傷については,設備・補修作業・管理の各点から改善を実施した。また,各設備への繰返し産物の増大に対しては,破砕機のライナー仕様変更やスクリーンパネル開口サイズ,3次クラッシャー操業条件の最適化を行った。その結果,2018年下期には設計能力(110千トン/日)を超える113千トン/日を達成した。銅実収率は,2017年以降80%以上を保つ一方で,モリブデンについては,実収率が低い状態が続いた。その原因はモリブデンプラントの設備不備により,操業条件が不安定になっていたためであった。集中的な改善活動を実施し,その中で操業条件については,500点以上のラボ試験を実施し,低実収率の原因解明と操業基準値の設定を行った。その結果判明した操業条件をオペレーターに繰返し指導し,操業管理を徹底させた。これにより,モリブデンプラント実収率は80%以上,モリブデン精鉱のモリブデン品位は,47%以上で安定した。今後は,さらなる増処理に向けて各工程のボトルネック改善に取り組んでいく。実施時期平成28(2016)年4月~平成31(2019)年3月成果1.ベルトコンベア損傷低減により,ボールミル稼働率は84%→88%に改善2.2次クラッシャー,3次クラッシャー,湿式スクリーン,サイクロンの操業条件最適化により,ボールミル処理速度は毎時5,056トン→5,341トンに向上→1及び2の結果,ボールミル処理量は,113千トン/日を達成3.モリブデンプラントの設備改善,浮選条件の最適化(操業基準値の設定),操業基準値の管理徹底により,実収率・精鉱品位ともに改善した。-2-鉱山第783号2020年2・3月