ブックタイトル鉱山2020年2月号

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概要

鉱山2020年2月号

を生かした研究開発をしており,Niメッキ接合を用いることにより,従来と比べて高耐熱性,高速スイッチング,高周波化が可能であるとの実験データが得られているとのご説明をいただいた。時間の都合上あまり詳しくは聞けなかったが,非接触給電の研究動向としてアメリカで行われた国際会議(ECCE2019,IEMDC2019)のご紹介をしていただき,ウイスコンシン大学での巻線型誘導電動機の開発動向などのご説明をしていただいた。2-2.工学研究院物質工学研究系(応用化学科・無機材料化学研究室)髙瀨聡子助教「エネルギー循環のための水素系触媒・ナノレベルの配列制御による固体触媒の高活性化」髙瀨先生は燃料電池や空気電池に使われる触媒の合成を主な研究テーマとしており,貴金属を使用しない安価な触媒の開発や高い触媒活性を実現するための技術開発をテーマとした研究を行っている。ご講演ではペロブスカイト型酸化物触媒と金属フタロシアニン積層体の合成方法や触媒活性のお話をしていただいた。ペロブスカイト型酸化物触媒は固体高分子型燃料電池の酸素還元触媒としての応用を考えており,低温湿式合成法と呼ばれる方法で合成を行っているが,これはSmFeO 3などのペロブスカイト型酸化物の前駆体を作製した後,焼成して溶媒(Na 2 CO 3)を飛ばすという方法でナノサイズの粉末を得ているとのことであった。低温で合成することにより比表面積が大きくなり(100m 2 /g)またポーラス状にすることで触媒活性を高められているとのことであった。金属フタロシアニン(MPc)積層体は湿式合成で作製しており,疎水性の錯体分子であるPb,Bi,Ru等の金属フタロシアニンが溶解している有機溶液を水溶液に滴下することにより界面に結晶層を生成する方法で様々なMPc複合体を合成している。この触媒はCO 2をCOに還元する触媒などでの応用に期待されているようであった(製鉄メーカーでの利用)2-3.工学研究院電気電子工学研究系松本聡教授「超小型電源とエネルギーハーベスティング技術」地球温暖化防止のためには炭酸ガス排出量の抑制が重要となり,今後あらゆる分野で電化が進むことが予想されている。特に電源開発においてはインバーターやコンバーターで交流-直流を制御したり,要求電圧で供給する場合のエネルギーロスを如何に少なくするかということが重要となる。松本先生の研究室では電力の有効利用のために電源開発の研究を行っている。松本先生はNTTで長年半導体素子の研究をされており2010年に九州工大に着任されたとのことであった。研究ではSi基板を用いたSOIやSOSの張り合わせ技術,Si薄膜化技術,Silicon onDiamond(SOD)の技術等を用いて3次元Power SoC(Power Supply on Chip)の開発を行っており,電源の究極の小型化を目的として太陽電池等のエネルギーハーベスティング用の極低電圧で動作する電源開発を目指している。2-4.九州工業大学理事・副学長横野照尚教授「光を使って環境をきれいにする夢の光触媒開発と応用製品」1972年に本多-藤島効果が発表され,酸化チタン電極と白金電極からなる電気化学セルを用い,酸化チタン電極に紫外光をあてると酸化チタン電極から酸素が,白金電極から水素が発生し,この結果は光エネルギーを直接水素エネルギーに変換できることを示した。それ以降,酸化チタンを用いた様々な研究がなされるが,応用としては光触媒の超親水性や酸化還元反応を生かした研究にシフトしていった。酸化チタン粉末光触媒の反応機構において,粒子表面で酸化・還元反応が同時に起こると性能が上がらな-30-鉱山第783号2020年2・3月