ブックタイトル鉱山2020年2月号

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概要

鉱山2020年2月号

2.0チタン酸化物系平均電位(V vs.Li/Li +)1.0実測値(Li4Ti5O12)実測値(CoO)酸化物系(MOx)硫化実測値(MgH2)物系(コンバージョン+合金)水素化物(コンバージョン)実測値(ハードカーボン)0実測値(黒鉛)0非結晶炭素黒鉛窒化物系Sn合金系実測値SiO(Si系、SiO/C系)400 800 1200 1600容量密度(Ah/kg)2000Li3.75SiLi金属系3600 4000 4400図2 NEDOリチウムイオン2次電池の負極材料の技術マップ充(電放電充(電放電図3主な負極の充放電反応模式図(a)黒鉛負極(b)LTO(Li 4 Ti 5 O 12)負極高い負極活物質として,チタン酸化物系(LTO負極)が用いられている。LTO負極で代表的な物質であるLi 4 Ti 5 O 12はスピネル型構造を有し,その構造内のトンネル部分にLiを挿入脱離することで充放電反応を行う。Li 4 Ti 5 O 12は理論容量が175mAh g -1と黒鉛の1/2程度で対Liでの作動電位が1.55Vと高いため,蓄えられるエネルギー密度は小さくなるが,安定的にLiの挿入・脱離が可能で黒鉛で問題となった電析も作動電位が高いため起こらず,幅広い条件での使用が可能である。[3]しかし結晶構造から大幅な理論容量を向上させる材料の開発は非常に困難であるため,電池としてのエネルギー密度は他の負極と比べ見劣りしてしまう。その様な中,次世代の負極活物質として注目されているのが,Siを活物質として用いるSi系負極である。Siは十分存在し,資源供給の点で問題になることは無く,安価で安定的に供給することが可能な物質である。NEDOの技術マップ(図2)でも示されているように,Si系負極は電位が低く容量密度も高いため,高エネルギー密度の電池を提供できるポテンシャルがある。Si単体ではLiと合金反応を起こし,最大Li 4.4 SiまでLiを取り込むことが可能で,その理論容量は4200mAh g -1と既存の負極活物質の10倍以上の値に達する。[4]ただし,SiとLi 4.4 Siとの間には300%を超える体積の違いがあり,充放電の際には毎回この大きな体積変化が伴う問題がある。Siの充放電反応のモデルを図4に示す。負極活物質においては,充電時に電解液の分解等で活物質表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)という数十nmの膜が形成される。電解液中のLiが電極活物質に取り込まれるには,その界面で鉱山第783号2020年2・3月-19-