ブックタイトル鉱山2020年2月号

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概要

鉱山2020年2月号

2019年度日本鉱業協会賞No.10(新材料部会推薦)c軸配向Apatite型ランタンシリケート電解質を用いたセルの酸素ポンピング特性-低温作動への挑戦-三井金属鉱業株式会社機能材料研究所井手慎吾三井金属鉱業株式会社機能材料研究所大山旬春三井金属鉱業株式会社機能材料研究所加畑実功績の概要現在,高効率発電デバイスである固体酸化物型燃料電池(SOFC)や車載用排ガスセンサなどに使用される酸素センサの電解質には,高音域で酸素イオンが伝導可能な酸化物セラミックスであるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)固体電解質が使用されている。固体電解質は,その他にも酸素分離膜,水電解,各ガスセンサ等,将来のエネルギー源やIoT社会を支える重要なデバイスへの応用展開が検討されている。これら固体電解質型のデバイスは,高効率・高性能を成し得る大きな特徴を生かし,今後も更なる研究開発,市場拡大が見込まれている。一方,YSZ固体電解質は,各デバイスの作動に必要な酸素イオン伝導度を得るために,800℃以上の高温加熱を必要とすることから,より低温域でも高い酸素イオン伝導度を有する材料探索が世界中の大学や研究機関で進められてきた。今回の発表は,独自の量産性が高い製造技術により,低温領域でも高い酸素イオン伝導を示す新規固体電解質開発に成功した。この材料は,既存のYZC電解質より,10倍以上高い伝導度を示し,作動温度を200℃以上低温化できるものである。更に九州大学島ノ江教授,渡邊准教授との共同研究により,この新規電解質を用いた高性能デバイスの開発にも成功した。実施時期平成26(2014)年4月~令和元(2019)年11月成果本研究において開発した固体電解質は,今後ニーズが高まる低温作動型固体電解質デバイスを実現できる有望な材料である。エネルギー分野やIoT社会への技術貢献は極めて大きいと判断できる。すでに実用化に向けた製品・仕様設計が検討されており,新しい用途への応用展開も大いに期待できるものである。(学会発表9件,報告文献2件,特許出願13件)鉱山第783号2020年2・3月-11-