ブックタイトル鉱山2020年2月号

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概要

鉱山2020年2月号

2019年度日本鉱業協会賞No.9(新材料部会推薦)アルミ電線と銅端子のガルバニック腐食を防止する防食めっき処理三菱マテリアル株式会社中央研究所久保田賢治三菱マテリアル株式会社中央研究所西村透三菱マテリアル株式会社中央研究所樽谷圭栄三菱マテリアル株式会社中央研究所中矢清隆三菱マテリアル株式会社中央研究所酒井章雄三菱マテリアル株式会社中央研究所川合俊輔三菱伸銅株式会社若松製作所玉川隆士功績の概要ワイヤーハーネスの電線を銅線からアルミ線にすることで軽量化を達成するアルミワイヤーハーネスが注目されている(銅線比40%以上の軽量化)。アルミワイヤーハーネスは,銅合金製の端子とアルミ合金製の電線を加締めて使用するが,アルミと銅が接合された状態で,塩水などの電解質水溶液に接触すると,アルミと銅との間でガルバニック腐食が発生する問題がある。本発表は,ガルバニック腐食を銅合金にめっき処理を施すことで抑制することを目的として検討を行ったものである。具体的には,電気接点性能が優れるスズに腐食電位がアルミよりも卑な亜鉛を添加することで銅端子の腐食電位をアルミに近づけてアルミ腐食を低減できることに着目し,銅合金端子上にニッケル,亜鉛合金,スズを順次積層する防食めっき付き銅端子材料の開発を行った。この防食めっきを施した銅合金端子は,アルミのガルバニック腐食電位を大幅に低減できることをアルミ線と防食めっき平板サンプルを用いた電気化学測定で確認した。また,端子サイズ2.3型相当の銅端子形状モデルを作成し,アルミ線の腐食電流シミュレーションを実施した。シミュレーションにより,防食めっきを施すことでアルミ線に流れる腐食電流を銅端子に対して1000分の1以下まで低減できることが示唆された。実施時期2017年4月~2019年3月成果1.アルミのガルバニック腐食の大幅な抑制を長時間維持できる防食めっき付き銅合金端子を開発した。2.本研究で開発した防食めっき技術を用いることで,従来から用いられている樹脂モールド処理などの防食処理が不要となり,アルミワイヤーハーネスの小型化と低コスト化への貢献が期待される。-10-鉱山第783号2020年2・3月