ブックタイトル鉱山2020年2月号

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概要

鉱山2020年2月号

2019年度日本鉱業協会賞No.7(工務部会推薦)原料増処理対応に向けた鉛熔鉱炉増強更新工事三井金属鉱業株式会社竹原製煉所山下裕司功績の概要竹原製煉所では,鉛熔鉱炉の原料処理増を目的とし,様々な対応を実施してきたが,いずれも一時的な効果にとどまり,目標とした原料処理量に到達しなかった。そのため,現状の炉では増処理対応は不可能と判断し,最も確実性の高い炉本体のスケールアップによる原料増処理対応を実施した。鉛熔鉱炉の増強更新計画は,以下のとおりである。1.既存設備の配置状況や設置スペースの制限等の物理的制約の中で炉を拡張する。2.工事期間や工事スペースの制約により,杭打ち工事を実施しない条件下で,拡張した炉の荷重増加分に対応した基礎を設置する。3.原料・コークスが炉内で均一な分布となる原料投入設備を設置する。4.炉況の安定化を図るため,炉内の燃焼や反応条件が既設の炉と変わらないことを前提とし,できるだけ最適な燃焼条件を得られるように建設する。5.既設の炉の解体に際して予見できない事態発生が起こり得るが,50日間の予定工期で工事を完了させる。実施時期企画検討~運転開始2016年6月~2018年6月まで成果1.炉内の燃焼領域と炉形状の最適バランスを決定したうえで,周囲の既設設備を改造することなく本工事を完了した。2.炉の直下の地盤の長期地耐力の調査を実施し,基礎杭を打設しなくとも設計荷重を十分支持できる地耐力を有していることを確認したうえで,基礎を全面更新した。3.原料投入設備は,ミニチュアモデルで試験・考察を繰返し実施し,更に実機スケールで確認試験を実施のうえ設備仕様を決定した。4.炉体使用の決定に際して,高炉で使用される燃焼領域計算の理論式と鉛熔鉱炉での実測値とを組み合わせることで,鉛熔鉱炉での独自の燃焼領域計算式を導き出して実行した。5.50日間の短期間での工期達成のため,ジェットコンクリートを採用するとともに解体工事におけるコンティンジェンシープランをあらかじめ準備した。-8-鉱山第783号2020年2・3月