ブックタイトル鉱山2020年1月号

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概要

鉱山2020年1月号

ての低濃度PCB廃棄物の処理施設です。処理能力は64.2t/日。閉鎖空間内で解体・容器詰めされたトランスを容器ごと860℃で4時間かけて焼却処理を行います。処理容器の移動は無人で自動運転。燃え殻は無害化を確認した後,リサイクルされます。排ガスはダイオキシン類等の副生成物抑制のため200℃まで急冷したのち,バグフィルター・脱臭塔を通って大気放出。排ガスの確認は年2回外部機関に委託して実施。設備はすべて建屋内にあり見学順路が設けられており,実際の作業を窓から見学しながら備え付けの精密な模型を使ってご説明いただいたので大変わかりやすい印象でした。4号炉建屋を出て,バスで3号炉及び2号炉の見学へ。3号炉は1998年に稼働開始,昨年,設備増強をしています。処理能力は380t/日。投入された廃棄物はロータリーキルンにより1,100℃で燃焼。医療系廃棄物などの小ロット品が直投できるラインを設けています。高温の排ガスは熱回収を行い,発電に利用,急冷塔・バグフィルター・洗浄塔を通って大気放出しています。燃え殻・飛灰の一部は排出側のニーズによりセメントとして利用されるとのことですが,ほとんどは岡山県の水島にある最終処分場にて処理をしているとのことです。また,2号炉の特徴としては,ロータリーキルンに入りきらない大型機器を固定床炉で一括処理できる他,難処理性の液状廃棄物も炉内に直接噴霧する設備から投入することで処理できる点が挙げられます。分析部門は品質管理課の所管で,エコラボと呼ばれる建屋内で業務を行っています。主に廃棄物受入時の評価,処理後の検査,炉周りの分析計のメンテナンスを業務としているとのこと。要員は10名強,勤務形態は日勤ですが,土日も交替で出勤していると伺いました。分析機器としてICP発光分光分析装置,原子吸光装置,ガスクロマトグラフ,有機ハロゲン測定装置,イオンクロマトグラフ,示差熱分析計を各1台,水銀分析装置,蛍光X線分析装置を各2台所有しているとのこと。また最近,遠心分離機を増強し,確実に環境省布告第13号に準拠できるようにしているとのことで,その意識の高さに感銘しました。2日間にわたり,柵原鉱山資料館,卯根倉鉱業㈱の鉱水処理設備,エコシステム山陽㈱の産業廃棄物処理設備を見学させていただきました。今回の研究会は,柵原鉱山を中心としてその周辺地域も含めた歴史から,今後のリサイクル事業のあるべき姿までを順にたどるものとなりました。今までの日本の製造業は,川上から川下へ一方通行の流れしかほとんど意識していなかったことで,様々な問題が噴出しているのではないでしょうか。持続可能な社会の構築へ,その解決策のヒントが今回の旅の中に潜んでいるのではないかと感じています。末筆ながら,見学を快くご承諾いただき,ご案内いただきました卯根倉鉱業株式会社並びにエコシステム山陽株式会社の皆様に,この場を借りて厚く御礼申し上げます。図3エコシステム山陽での集合写真-64-鉱山第782号2020年1月