ブックタイトル鉱山2020年1月号

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概要

鉱山2020年1月号

乗り,途中昼食休憩を挟み,佐久市にあるシチズン時計マニュファクチャリング㈱ミヨタ佐久工場に到着しました。まず,総務課の宮沢様よりエントランスの2万5千個の地板とシチズンの1mm厚のムーブメントについてご説明いただき,2階の会議室に案内された後,酒井工場長に会社紹介と事業内容,その他様々な活動と取り組みについてご説明いただきました。同社は,設立が2013年7月1日で発足から6年と新しい会社ですが,元々別の会社であった関連会社を製造力の強化のために再統合したとの事です。真の良い会社を目指し,スローガンは「QCDで世界一優秀なる時計製造の実現」となっています。主な商品は,年差1秒の自立型クォーツ時計,スマホとbluetoothをつないだエコドライブbluetooth,厚さ1mmのムーブメント(全体でも3mm厚)のエコドライブワン,北川景子さんアンバサダーのXC,有村架純さんアンバサダーのウィッカから累計で50億個以上販売したMIYOTA2035をはじめとしたムーブメントです。社の特徴はその金型技術にあり,精密加工技術と精密金型技術に特徴があります。また,ムーブメントは国内での一貫生産を行い,その量産のために徹底した自動化を行っています。ムーブメント「ミヨタ」はブランドとして展開しており,1.5億個/年の製造を行い,8割は外販しています。工場は3交替制の24時間稼働ですが,週5日稼働で基本週末は休日との事です。また,人材育成の取り組みとして,全社員のプロ化を目指して時計学校を設置し,既に90%が時計修理技能士の国家資格を取得しており,技能オリンピックで優秀な成績を収めています。その他にも様々な活動に取り組んで会社の一体感を高めてより良い社風を醸成するように努力しているとの事でした。説明の後,現場を見学させていただきました。時計製造工場は大きく分けて4つの工程で構成されています。回路製造,コイル製造,ムーブメント組立,腕時計アッセンブリです。工程は片道25m,往復して50mで完成させるように設計されています。工程は130工程ありますが,基本ユニットはPick&Placeで,様々な工程に活用されています。また,検査を一工程ごとに挟んであるのが特徴で,近年は画像処理の検査技術を使った検査も取り入れています。タクトタイムは1秒-1個の生産を掲げており,その生産能力は84,000個/(日・ライン)以上です。稼働率は97~98%程度で,オペレータは1ラインを2名で見ています(別の工程では2ラインを1人でオペレートしているラインもあり,さらに自動化を加速させているとの事)。ネジ部品は鹿児島工場で作られているとの事ですが,その部品の小ささには驚きました。ネジは約250種類あるそうですが,そのどれもが独自の規格だそうです。回路工程ではICの実装も1秒タクトで行っているのが特徴的でした。コイル製造でもムーブメント1個-1秒製造に合わせるために,複数台の巻線機を並べて自動化していました。この巻線工程は髪の毛よりも細い18.5~22μmの純銅の線を絶妙のテンションで巻き上げていくのが特徴的です。ムーブメントの組立ラインも自動化をさらに進めており,IoT技術を導入したラインが順調に稼働していました。一方で,時計の完成品は一つ一つ手作りで丁寧に仕上げており,またモニター越しではありますが飯田工場の組立工程も見る事がで写真3シチズン時計マニュファクチャリング㈱ミヨタ佐久工場全景(腕時計の形,工場提供)-60-鉱山第782号2020年1月