ブックタイトル鉱山2020年1月号

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概要

鉱山2020年1月号

風19号の影響で大きな被害がありましたが,幸いにも工場は被害を免れたそうです。(取引先のパナソニックが被害を受け,材料の供給はストップするという事態にはなったとの事です)工場到着後,水沢執行役員製造グループ長からFICT長野本社の概要等を説明していただきました。従業員761名に加えて派遣社員が100名強で,「高多層基板の製造ランキング」では世界6位だそうです。主な製品は歴代のFACOM Mシリーズにはじまり最近ではスーパーコンピュータ「京」や次世代機種である「富岳」の基板なども手掛けてきたとの事です。見学に先立ち,高多層プリント基板の製造フローを解説していただきました。製造工程は,基準穴加工,中間層パターン形成/検査,積層,穴開け加工,銅メッキ,表面層パターン形成/検査,ソルダーレジスト加工,(ニッケル・金メッキ),シルク印刷/ロット捺印,外形加工(OSP処理),電気試験(SOT),電気特性試験,PTH保証試験,外観・寸法検査,梱包出荷によって構成されています。工場見学では,まず最初にショールームに設置されているスーパーコンピューター「京」の基板を案内,説明していただきました。「京」はSPARC64という8コアのCPUが4つ実装された32コアの基板2万枚より構成されており,約60万のコアが並列処理されるとの事です。数字を聞くだけでその凄さが想像されます。因みに,来年にかけて「京」も「富岳」に更新される計画で,実装される予定の基板は大きさが約1/4になるにも拘わらず52コアのCPUが2個実装され102コアの基板になるとの事です。次に,中ほどの工程であるメッキ工程を説明していただきました。開いているかどうか判らない様な穴2~4万か所全てにメッキ液を通すため,アルコール(IPA)を入れて脱泡し,無電解メッキの後に電気メッキを4~9h行うそうです。銅板が厚くなりAspect比が20を超えるとメッキが困難になってきて大変との事で,機械的なショックを与えて脱泡する音が響いていました写真2富士通インターコネクトテクノロジーズ㈱長野本社にて集合写真が,歩留りは全工程で96%と高く,技術力の高さが窺えました。その後,積層,ソルダーレジスト形成などを説明していただきました。ソルダーレジストはスプレーでコーティングするのですが,小さな穴に塗布する方法として反対側にマイナス6万ボルトの静電気を掛けてスルーホールを突き抜けることで塗布するといった興味深い方式を教えていただきました。また,シルクスクリーン印刷では早々にインクジェット方式を試したそうですが,あまりに時期尚早だったようで簡単に元の方式に戻って現在に至るとの事で,変更するタイミングも重要なのだと考えさせられました。見学から戻って,質疑応答を活発に行いました。その中には,「歩留り96%であり,4%の不良は何が原因なのか?」との質問に対しても,「積層が不均一になるとNGとなりやすい,不均一になるのは異物の混入が主,その異物の中には基板自身がガラスクロス材を含んでいるので発塵する,その不良も伝送特性(インピーダンス)が問題となる程度」と詳しく回答していただき,非常に参考になりました。4.シチズン時計マニュファクチャリング株式会社ミヨタ佐久工場FICT長野工場をバスで出発し,高速道路に鉱山第782号2020年1月-59-