ブックタイトル鉱山2020年1月号

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概要

鉱山2020年1月号

部会報告(製錬部会)2019年度製錬部会現地研究会見学記(日本冶金工業株式会社大江山製造所)JX金属株式会社小林義文製錬部会の例年の行事の一環として現地研究会が開催され,部会員の知識の向上,情報の収集及び親睦が図られています。例年は銅,亜鉛,鉛関係の工場を主体に現地研究会を開催してきましたが,今年度は坂井理事のご助言もあり協会のスラグ委員会会員の日本冶金工業株式会社大江山製造所様を見学させていただくこととなりました。同製造所の所在地は京都府宮津市で,日本三景の一つである天の橋立に隣接しています。さて本年度の現地研究会ですが,2019年11月18日から19日の日程で開催されました。製錬部会は7社のメンバーと協会の事務局で構成されておりますが,業務の関係で今回は5社(1名は代理参加)プラス協会2名の7名での参加となりました。現地までの行程は東京から京都までは新幹線,京都から福知山までは嵯峨野線,そして福知山で京都丹後鉄道宮豊線に乗り換えて天の橋立となります。新幹線所要時間約2時間20分,嵯峨野線1時間20分,京都丹後鉄道宮豊線40分と乗車時間合計約4時間半で,思いのほか京都なのに遠いという印象です。ある意味京都の奥深さともいえるのかもしれません。嵯峨野線は京都を発ちますと太秦や嵐山のそばを通りながら京都の山間部を駆け抜け,福知山にて京都丹後鉄道宮豊線で日本海を目指します。終点手前の宮津駅に到着しても日本海との邂逅は果たせず,宮津駅でスイッチバックして5分後に天橋立駅に到着しますがその間やっと日本海とご対面ということになりました。駅からは工場の総務チーム課の椋平さんにお迎えいただき,天の橋立を横に見ながら大江山製造所に向かいました。工場が面する阿蘇海は宮津湾の一部なのですが砂洲である天の橋立で内海となっているためごく穏やかな海です。工場は後方の大江山連峰とこの海に囲まれている緑が多い平らで広い敷地に立地しております。工場に到着すると館農所長,野田常任顧問,中澤様,井田様に出迎えていただき挨拶後,野田様から工場の概要について説明がありました。皆様ご存知の通り日本冶金工業㈱は原料調達から製造までステンレス鋼を一貫生産されていますが,大江山製造所はステンレス鋼の原料であるFe-Niの生産拠点となっています。沿革としては国内のNi需要に対応するため国内のNi鉱脈を探査し昭和9年に最も有望な京都府与謝野町の大江山鉱山で採鉱し始めたのがスタートとのことです。昭和17年に現在の敷地に製錬工場が竣工し終戦後一時休止していましたが,昭和27年に再開され現在に至っているそうです。日本冶金工業㈱はステンレス鋼メーカーで,大江山製造所は,川崎製造所でステンレス鋼を製造するのに必要なNi原料の供給基地としての役割を担われております。足元の状況としては,やや減産気味であり,Ni価格の低下やステンレス鋼の需要減の影響もあり,フル生産という訳ではないようです。非鉄メーカーはどこも自社の生産する金属の価格変動に一喜一憂しますが,Fe-Niの製造も同じ悩みのようです。工場は約78万m 2の敷地に社員約100名,関係会社を含めますと約200名が勤務しているとのことです。工場内は昭和27年-52-鉱山第782号2020年1月