ブックタイトル鉱山2020年1月号

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概要

鉱山2020年1月号

集合写真(スーパーカミオカンデ)であり,1日30個ほど捕獲されるニュートリノを解析することで“太陽から飛んでくる太陽ニュートリノ”なのか,“地球の大気圏で発生した大気ニュートリノ”なのか,はたまた“超新星爆発で発生したニュートリノ”なのかが判り,また捉えたニュートリノの速さ,エネルギー等様々な分析を行うことで,宇宙誕生の秘密や歴史が解明されたりするとのことであった。梶田東大宇宙線研究所長がノーベル賞を受賞しメディアからの発信も多くなったことで皆さんもご存じのことが多いとは思うが,筆者は今回の施設見学会がなければ,これほどまでに興味を持つことも無かったのではないかと思う。足を踏み入れた空間の第一印象を正直に表現すると単に工学部の研究室が大きくなったような殺伐とした印象であった。しかし,この下の特殊装置は運用開始から2018年6月に貯水槽の改修を行うまで12年もの間測定を続けており,その間1度しか蓋が開けられたことがなく,その1度も天皇陛下がご見学された時だけ装置を止めたという話を伺った。『それほどまでに緻密に長時間観測し続けないと成果が出ない研究』であると改めて認識したと同時に,この研究にかけるエンジニアの方々の使命の念を感じずにはいられなかった。2.神岡鉱業㈱:茂住坑内湧水発電所ニュートリノの観測施設「スーパーカミオカ小水力発電(天狗の団扇)ンデ」見学後,神岡鉱業株式会社が運転管理する水力発電所10箇所の内,3箇所を見学させていただいた。茂住鉱山内の標高358mにある坑内水力発電所『天狗の団扇』は,2014年に新設工事が完了,6月から商用運転を開始しており,有効落差80.95m,湧水0.12m 3 /secを利用して最大77kWの発電能力を有する小水力発電設備である。坑内の湧水箇所の沈砂池から導水溝を経由しφ200のポリエチレンパイプで水車-発電機まで導水されている。湧水は雨量によって左右するものの絶え間なく発生しているとのことであり,我々が見学した際には19kWの発電がなされていた。3.神岡鉱業株式会社:跡津系発電所(跡津発電所,土第一発電所)水力発電所のFIT化に伴う系統連系工事が2018年度に完了した跡津系発電所の内,最大出力11,959kWの跡津発電所および1,825kWの土第一発電所を見学させていただいた。跡津発電所は有効落差337mの山肌にφ1300の鉄管が敷設されており,工事には専用のケーブルクレーン等を利用した工法が採用されたとのことだったが直ぐにはイメージできないほど大きな規模であった。土第一発電所は大正時代から4世代を跨ぎ発電を続けており歴史が古く老朽化が進んでいたことから大規模更新工事が行われた発電所鉱山第782号2020年1月-43-