ブックタイトル鉱山2020年1月号

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概要

鉱山2020年1月号

を用いた光触媒-電解ハイブリッドシステムおよび光電極アノード水分解は中期的,有用化学品製造は短期的なテーマと考えられる。人工光合成の研究では,この時間軸は常に意識したい。また,人工光合成は太陽光発電から比較すると現時点では未熟な段階であると認めつつも,その将来性を漠然と説明だけでなく,効率単価φが格段に安価であることを数値も交えていつでも明確にアピールできるようにありたい。その上で,太陽光発電とこれまで通りに競争するのか協調するのかの覚悟を早々に決めることになる。多くの研究者が融合のアイデアをできるだけ多く出して,大面積化のイメージを想像しながらその経済性を議論し,革新的なシステムの構築ができることを期待している。導入初期から税金や政策的資金に頼らないシステムが望ましい。減価償却後に黒字になるシステムの場合,多少の初期政策的資金の導入も国民の理解が得られるのであれば可能かもしれない。電解装置の稼働率を上げるために,風力発電等とエネルギーネットワークで組み合わせると,最適化コストがもっと低減されると想像される。さらに,そこに多種多様なソーラーケミカル製造技術を組み合わせてサンベルト地帯を巨大なCO 2フリーのソーラー化学コンビナートに変貌させられるかもしれない。いずれにしても,人類の未来のために太陽光の有効利用技術の開発は継続的に行うべきであり,その経済合理性を含めた意義を機会あるごとに発信して多くの人の理解を得る努力をしなければならない。謝辞:本研究の有用化学品製造研究の一部は革新的エネルギー技術国際共同研究開発事業,粉末光触媒および光を使わない反応の一部は新学術領域「光合成分子機構の学理解明と時空間制御による革新的光-物質変換系の創製」の援助を受けている。参考文献1)パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(2019年6月11日閣議決定).https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/Long-term_strategy.pdf2)エネルギー・環境技術のポテンシャル・実用化評価検討会報告書(2019.6.10).図8ソーラーケミカル製造の概念図鉱山第782号2020年1月-35-