ブックタイトル鉱山2020年1月号

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概要

鉱山2020年1月号

5.アノード上で用いるTiO 2結晶の最適化とその性能支配因子上記のようにHV-SCに期待する理論上の2.75-3.00Vの起電力に対し,光触媒膜内の拡散過電圧・光触媒とITO電極との界面での過電圧により,実験的な開放電圧は1.59-1.91Vに留まった。また電池本来に求められる出力の向上も課題となることから,アノード上で用いるTiO 2のHV-SC性能への支配因子を解明し,最適化を試みた。TiO 2の結晶相(anatase,rutile,brookite)・露出結晶面・分極率・比表面積・粒子径・粒子径分布の均一さ・製膜方法(cast,slide,ballmilling&slide,ball milling&mechanicalapplicator)の制御パラメーターを振って,発電成績への影響を見た。その結果,anatase相結晶で,[0 0 1]方向に成長させたロッド状結晶・{1 0 0}面および(00 1)面を露出したcube状結晶・{1 0 1}および(0 1 0)面を露出した“rhombic”結晶いずれも,SCの出力に不利だった。支配因子を解析すると,DC引加条件でのACインピーダンスおよび18 O 2光交換反応速度とSC出力とが有意な相関があった(Figure 8 b,c)。前者はTiO 2結晶の分極率が大きく,電子が光触媒膜を通りやすいことの重要性を示しており,後者はO-O解離反応が遅いほどその逆反応に相当するO-O形成反応すなわち水を光酸化してO 2形成する反応が速く,アノードとして優れていることを示した。さらに製膜方法も各パラメーターと密接に相関しており,概してかさ密度が低い方が有効なサイトが多くなるため触媒作用の観点でよい(Figure 8 d)といえるが,かさ密度が高いほど導電性は高くなるという側面もあることが因子解析で読み取れ,基本的にはslide法による製膜がよいことが分かった。96.色素が起電力と出力を増幅するTiO 2およびBiOClを用いたHV-SC2?5項で,光触媒の種類・結晶相・露出結晶面・分極率・比表面積・粒子径・粒子径分布の均一さ・製膜方法を変えて,HV-SCの発電成績を最適化した。さらに成績を向上させるために,アノード上光触媒への色素添加を試みた。色素増感太陽電池(DSSC)に類似しているよFigure 8アノード上TiO 2についての制御パラメーターとSC発電量との相関Figure 9アノード上TiO 2の分極率および光触媒作用での活性化エネルギーがSC発電に与える影響の模式図鉱山第782号2020年1月-19-