ブックタイトル鉱山2020年1月号

ページ
27/80

このページは 鉱山2020年1月号 の電子ブックに掲載されている27ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

鉱山2020年1月号

ていた(front-front配置)。これを,ITO透明電極側から光を照射するrear-rear配置に変更し,TiO 2厚さ(キャスト量)を微調整したところ,開放電圧は1.91V,最大出力は42.9μW cm -2にまで向上した。8この向上の一番の理由は光触媒膜内の電荷の拡散過電圧を極小化したことで,その値は0.23?0.41Vと見積もられた(Figure 7)。Figure 7はfront-rear配置で,TiO 2膜全体で水光酸化できるのに比べ,rear-rear配置ではITO電極近くでより効率よく水が光酸化される特徴があり,両配置での発電成績は拮抗していた。8Figure 5 HV-SCのスタンドアローン化のための比較発電試験結果。Test番号はTable 1に対応するが抑制されたためといえる(Figure 5)。Test 4の結果はN 2 /O 2供給を続けて発電試験したTest 1の結果さえも凌駕していた。6一方,ヘキサン添加とプロトン伝導膜の気孔を合わせると(Test 3),ヘキサンの効果で試験初期はTest 4の発生電流に匹敵するものの,次第にTest 2や5のレベルにまで減衰した(Figure5)。気孔は意図したアノードからカソードへの生成ガスの流れだけでなく,逆方向にカソードのO 2がアノードに流れてしまう問題点が明らかになった。Figure 6 TiO 2をアノード上に,BiOClをカソード上に用いたHV-SCのエネルギー模式図4.TiO 2およびBiOClを両極に用いるHV-SCでのさらなる高電圧化次に,カソード上の光触媒をSchottky障壁利用のAg-TiO 2からp型半導体のBiOClに変更してみる。起電力はBiOClのバンド位置を考慮して理論上2.75Vとなると予想された(Figure 6)。ITO電極上1.3cm 2の領域にTiO 2およびBiOClをそれぞれ5.0mgおよび2.5mgキャストして発電試験したところ,開放電圧は1.76V,最大出力は16.2μW cm -2となった。7以上では光触媒側からUV-visible光を照射しFigure 7 TiO 2 & BiOCl利用HV-SCでの,各種過電圧の見積もり-18-鉱山第782号2020年1月