ブックタイトル鉱山2019年12月号

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概要

鉱山2019年12月号

ェクトにおいて,日本側権益が30%から48.5%に積み増しとなることを公表した。関連情報によると,同鉱山は2019年9月に開山式を挙行し,2019年度中の正式操業開始を目指して,現在,試験操業中である。東邦亜鉛㈱は,オーストラリアにおいて2か所の亜鉛・鉛鉱山を操業中であるが,将来の鉱量枯渇に備えつつ自山鉱の充実を図るため,西オーストラリア州アブラ鉛鉱山を探鉱開発中の現地法人に1,000万豪ドルを追加出資し,合計3,000万豪ドルを出資することを2019年8月に発表した。ここ数年,世界の非鉄鉱山プロジェクトは,大型化の傾向,探査探鉱からの新規鉱山開発よりも既存鉱山の買収に重きを置く傾向,中国による従来型の直接投資に替わって既存プロジェクトへの権益取得による参入傾向が目立つようになった。上記の事例は,こうした情勢変化の中で,日本の各社が,新たなタイプの競合相手の出現や増大する資金需要対応などの課題を克服し,いっそうの経営努力をした成果の一端である。3.テーリング・ダムの国際基準づくりが始まる2019年1月25日に起きたブラジル,ミナスジェライス州ブルマディーニョ地区における鉄鉱石鉱山のテーリング・ダム崩落事故により300名以上の死者,行方不明者が出た。この大災害を契機に,関係企業をはじめ,国連の関係機関や投資家団体の間で,安全性強化のための国際的なテーリング・ダム自主規程の制定気運が高まった。その中心的役割を果たしたのがICMM(国際金属鉱業評議会)で,日本の会員3社を含む欧米や南米,豪州の主要非鉄メジャー各社トップの決定により,独立的な委員会システムであるGTR(Global Tailing Review)を立ち上げ,前記の関係者が一体となって規程づくりを開始した。日本の会員3社も,国内に関連ダムを有し,海外での鉱山事業を行っていることから,規程制定プロセスにおいて,その都度,意見表明を行い続けている。また3社は,経済産業省,日本鉱業協会とも活発な意見交換を行い,広い視野から国内外におけるテーリング・ダムの安全性向上に役立つべく積極的に活動中である。2019年11月15日に,GTRより規程草案が発表され,12月31日まで公聴会に付されて,さまざまな立場からの意見や提案をオンラインにて受付中である。今後,この規程案は,公聴会の結果を踏まえて最終稿にまとめられ,2020年上半期中にICMMやステークホルダーから認知されるよう各種手続きを進める予定である。4.各地で地熱開発に向けた動きが活発化2012(平成24)年7月から始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)やその後の規制緩和,JOGMECによる支援制度等によって,日本各地で地熱開発への動きが活発化してきている。そのような中,10,000kW以上の大規模地熱発電所としては23年ぶりとなる秋田県湯沢市の湯沢地熱による「山葵沢地熱発電所」が,2019(平成31)年5月に運転を開始した。本発電所は設備容量46,199kWのダブルフラッシュ方式(生産井から得られた一次蒸気及び熱水を減圧することによって得られる二次蒸気により発電するシステム)で発電するものである。国内では九州電力が1977(昭和52)年と1990(平成2)年に運転を開始した「八丁原発電所」(110,000kW)や東北電力の「葛根田地熱発電所」(50,000kW),「澄川地熱発電所」(50,000kW)に次いで4番目に大きい発電所である。また,岩手県松尾八幡平地域における地熱開発を目的として設立された岩手地熱が,「松尾八幡平地熱発電所」の運転を2019(平成31)年1月から開始している。本設備の発電容量は,7,499kWである。この他,岩手県八幡平市安比地域において,安比地熱が「安比地熱発電所」(14,900kW)の建設を2019(令和1)年8月から開始しており,2024(令和6)年4月の運転開始を目指している。また,秋田県湯沢市小安地域で小安地熱が「か-2-鉱山第781号2019年12月