ブックタイトル鉱山2019年12月号

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概要

鉱山2019年12月号

絞られている。割当量が限定的であるため,精製業者は不足する原料を国内スクラップやアフリカ,南米の粗銅に依存せざるをえなくなっている。日本への影響として,中国に輸出できなくなった被覆電線等の低品位スクラップの余剰品が国内に滞留している。中国景気の減速による銅地金安と相まって国内の銅スクラップ価格は下落している。中国における輸入量の減少や同国内での自給体制の構築により,同国内外のサプライチェーンの構造も変化しつつある。今後,廃棄物を中国へ輸出可能な原料に処理するため,中国企業が海外進出を進めていくことも見込まれる。9.LME,責任ある調達ガイダンス鉱物採掘に係る方法及び場所等,責任ある調達に関する世界的な注目が近年高まる中,2017年,LMEは上場するすべての生産者に対し,責任ある調達に係る要件導入につき包括的なアンケートを実施した。2018年10月にはアンケート結果とともに責任ある調達への道筋を示すポジションペーパーを公表し,具体的手続き及びタイムラインの案を示した。その後,2019年4月から6月にかけて,当該ポジションペーパーに関連し,基準策定に係るコンサルテーションを実施した。これらを踏まえ,2019年10月,LMEは責任ある調達について,「OECD紛争地域及び高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」(以下「OECDガイダンス」という。)に準拠した具体的手続き及びタイムライン等の最終的な要求事項をとりまとめ公表した。すべての生産者は,OECDガイダンス上のStep1(マネジメントシステムの確立)及びStep2(危険性(レッドフラグ)判断のアセスメント)の実施が求められる。危険性の有無に応じて内部又は外部の監査等の所要の手続きを行い,LMEに報告する必要がある。また,これらの手続きとは別途,各製錬所で,ISO 14001,OHSAS 18001,ISO 45001又はこれらと同等とLMEが認めた認証取得が必要となる。2023年までの完全なコンプライアンス遵守に向け,所要の手続きを完了させることが求められている。10.科学の祭典全国大会出展日本鉱業協会は,2019年度の鉱業及び製錬業に係る広報活動の一環として,7月27日(土)及び28日(日)に開催された「青少年のための科学の祭典・全国大会」へ出展した。当該イベントは,今年で28年目を迎える全国最大規模の科学技術体験イベント。全国約70か所で関連イベントが開催される中,「全国大会」は最大規模を誇り,今年は2日間の開催で約1万5千人が来場した。出展に当たり,住友金属鉱山及び秋田大学国際資源学教育研究センターの協力により,「金ぞくすい理ゲーム」「鉱山VR」及び「鉱石地金展示」を1つのイベントとして企画した。金ぞくすい理ゲームは,正体を明かしていない金属板5種(銅,鉛,亜鉛,鉄,アルミ)と,色・比重・剛性率・磁性及び熱伝導率が記載されたデータシートを参加者に配布し,自分の手で重さや硬さを体感し,磁石や示温テープで磁性や熱伝導の違いを検証した。各金属板が何か鑑定する体験を通じ,理解と興味の深化を狙った。また,実験に参加した200名全員に,上記金属板及び菱刈鉱山の鉱石ノベルティ等を配布した。鉱山VRは,秋田大学国際資源学教育研究センターが開発した体験型バーチャル鉱山。映像や音声で国内外の鉱山開発現場を体験するもので,採鉱技術伝承,作業効率向上及び保安教育等の資源学教育の新潮流として期待されている。鉱石地金展示では,国内外で採れた精製前の様々な鉱石及び地金等の展示物を通じ,資源・製錬等,当業界に係る一般的概況を来場者に説明した。ブースに来る子供たちからの多様な質問に丁寧に回答し,非鉄金属産業への理解を促鉱山第781号2019年12月-5-