ブックタイトル鉱山2019年12月号

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概要

鉱山2019年12月号

に搭載されている小型充電式電池の安全性の問題であった。電池については,当協会における関係各社へのヒアリングの際にもその危険性を訴えるところが多かったことから,今後,制度の見直し内容とともに電池の取り扱いに関わる対策についてもその経過を注視する必要がある。6.非鉄資源戦略見直しの兆し経済産業省において,将来の情勢変化を見据えた鉱物資源戦略の見直しを進めようとする気運が高まった。背景には,ここ10年ほどの間に日本の非鉄各社が参画可能な海外の銅,亜鉛,鉛プロジェクトの権益獲得競争が激化したことや,電気自動車(EV)普及によるニッケル,コバルト資源の安定確保に対するニーズの高まりがある。そのため,日本鉱業協会でも,経済産業省の政策立案に役立つようにするため,会員各社からこれまでに寄せられた政策要望や,将来の経営目標達成に必要な政策,新しいタイプのビジネスにチャレンジする場合の課題や政策の将来像などを整理した。これらの内容は,経済産業省において,法改正が必要なもの,現行制度の運用改善で対応できるものなどに再整理され,2019年9月の月例懇談会にて「資源燃料分科会への第1次提言」としてまとめられ,2019年10月の同分科会において議論の端緒についた。今後は,2020年度にかけて,具体的な内容を固めて法改正や運用改善を実現し,日本の非鉄各社の国際競争力強化に早期に役立つものにしていく予定である。7.インドネシア鉱石禁輸前倒しインドネシアでは,2009年施行の新鉱業法により,鉱物資源の高付加価値化を目指す方向性が定められ,2014年1月から3年間,未加工のニッケル鉱石等の輸出が禁止されていた。しかしながら,鉱業会社の収入減少等の影響のため,2017年1月から鉱石及び精鉱の輸出条件が2022年までの5年間限定で緩和されることとなった。このような中,2019年9月2日,エネルギー鉱物資源省は,国内のニッケル製錬所建設の加速及び限られた国内埋蔵量を鑑みて,2017年1月から実施していた低品位ニッケル鉱石(品位:Ni 1.7%未満)の輸出緩和措置について,当初の期限2022年1月から前倒しし,2020年1月1日から再び輸出禁止とすると発表した。また,2019年10月29日には,輸出許可を大きく超える量の違法輸出が行われる中,取り締まりを強化する検査のため,低品位ニッケル鉱石輸出を一時的に禁止する措置が実行されたが,11月7日になると当該輸出禁止措置は解除された。11月22日,ヨーロッパ連合(EU)は,インドネシアによる未加工鉱石輸出規制は自国の製錬及び鉄鋼産業を利する目的のための措置であり,EUの生産者はスクラップ,鉄鉱石,ニッケル鉱石等の調達が不当に制限されているとして,世界貿易機関(WTO)に提訴した。今後,長期に及ぶWTO紛争解決手続きに付されることとなる。8.中国銅スクラップ輸入規制動向近年,中国政府は環境規制を強化する一方,廃棄物及びリサイクル政策を進めている。中国政府は,2017年7月に発表した海外ごみの輸入禁止及び固形廃棄物輸入管理制度改革の実施計画において,2020年までの国内資源循環に向けた産業構造改革を目指している。そのために,習近平主席による強力な政府指導の下,各種政策が推進されている。2017年以降,固体廃棄物の輸入管理及び環境汚染対策の強化のため,輸入廃棄物管理リストが改定され禁止品目が増加。2019年1月には中国政府は,第7類に分類される廃モーター及び廃電線等の品位の低い銅スクラップを含む固体廃棄物の輸入を禁止した。2019年7月には,第6類に分類される込銅及び雑ナゲット等の直接処理が可能な品位の高い銅スクラップを含む固体廃棄物の輸入割当制度を導入。輸入ライセンスは製錬・加工業者などに発行され,転売を目的とする中小の流通業者等には直接発行されず,全体の輸入量は大幅に-4-鉱山第781号2019年12月