ブックタイトル鉱山2019年11月号

概要

鉱山2019年11月号

鉱業政策の確立に関する要望書令和元年10月9日鉱業政策促進懇談会日本鉱業協会全国金属鉱業振興対策協議会中小鉱業対策推進中央・地方本部日本基幹産業労働組合連合会全国八地方鉱業会連合会非鉄金属製錬業は，電気料金の高止まりによる製錬コストの負担増，環境規制強化，資源・製錬分野の人材確保難など，多くの課題が継続し，厳しい事業環境下にあります。我が業界がこのような諸課題を克服し，金属素材の安定供給，循環型社会の構築・推進，地域経済社会の発展や雇用の安定確保など，当業界に課せられた多くの使命を堅実に果たしていくためには，事業基盤の強化が不可欠であり，官民一体の取り組みが求められています。この実現のため，次の鉱業政策の強化を要望します。1．最重点項目【】内は要望先（1）資源確保のための支援策の強化【経済産業省，財務省】・鉱業関係税制の拡充と恒久化－海外投資等損失準備金制度－金属鉱業等鉱害防止準備金制度・海外資源開発助成策の拡充［（独）石油天然ガス・金属鉱物資源機構（JOGMEC）や国際協力銀行（JBIC）等のリスクマネー供給の強化・拡充，新規探鉱の推進］（2）低廉・安定的な電力供給の確保【経済産業省，財務省】・ベースロード電源の早期確保・FIT (*)賦課金減免措置の維持・拡大・「省エネ補助金」等の補助施策の維持・拡充（*）再生可能エネルギー固定価格買取制度2．資源確保のための支援策の強化【経済産業省，財務省】（1）資源外交の強化と在外政府機関による支援の拡充（2）海洋鉱物資源開発に向けた長期的な取り組みの継続［法整備，試験遂行，技術開発］（3）資源探査など国内資源確保策の推進（4）地熱エネルギーの導入拡大（5）その他鉱業関係税制の維持・存続［軽油引取税の課税免除措置，減耗控除制度］3．製錬業の国際競争力の強化【経済産業省】（1）製錬技術の開発支援［低品位・難処理鉱へ対応できる選鉱・製錬技術開発，省エネ・省電力化技術，リサイクル原料対応製錬技術，製錬副産物からの有用金属回収及び有効利用の技術など］（2）亜鉛と鉛の用途拡大の促進（3）副産物の用途拡大に係る支援（4）新材料開発の推進（5）産業活動と調和した地球温暖化対策の推進4．リサイクル事業環境の整備【経済産業省，環境省】（1）改正バーゼル法に基づく，電気・電子部品スクラップのトレーサビリティ確保，使用済み鉛蓄電池輸出時の厳格な審査の継続，及び電炉ダストの輸出承認における厳格な審査・判断（2）循環型社会構築のための施策推進［「優良産廃処理業者認定制度」の拡充，施設の設置・変更許認可の簡素化・迅速化，有価金属の産業廃棄物処理法規制からの除外，広域集荷のための制度整備］（3）リサイクル事業の拡大・開拓のための支援［使用済み製品の回収量向上への取組み，「エコタウン事業」の促進，優良な中間処理業者の育成］（4）リサイクル技術・システム高度化のための開発支援［有価物の回収技術の開発支援，解体及びリサイクルの容易な製品設計の推進］5．環境・保安対策の充実【経済産業省（1）（2），財務省（1），環境省（3）】（1）鉱害防止工事を早期に終了するための補助の拡大（2）坑廃水処理の終了を目指す技術開発の推進，坑廃水処理コストの削減（3）水銀水俣条約発効に伴う，廃水銀の処理・処分に関するシステムの方向性の早期決定6．産学官連携による人材の育成【経済産業省】（1）資源・製錬分野の人材確保・育成強化のための予算確保，実効ある制度の運用（2）同分野の若手研究者・中堅教員育成支援（3）同分野を学ぶ学生への奨学金制度の創設・拡充（4）海外鉱山を運営するグローバル人材の育成と人材需給ギャップを緩和する仕組み作り－4－鉱山第780号2019年11月