ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

比べて,ほぼ横ばいであった。最近5年間の傾向を見ると,着実にスクラップその他出の割合が上昇し,我が国においても金属リサイクルの取り組みが着実に成果をあげていることが分かる。特に,直島製錬所は銅を含む金銀滓の処理において世界一を目標としているため,今後もリサイクル原料出の銅生産は増加傾向である。銅純分ベースの銅精鉱の輸入量は,前年(暦年)比8.7%増の1,266千トンであった。(表12参照)我が国の銅精鉱の最大の輸入相手先は一貫してチリで,2018年には598千トンを輸入した。チリを含む上位5カ国の輸入相手先は,ペルー,インドネシア,カナダ,オーストラリアである。最近5年間の輸入動向は図2のとおりであるが,オーストラリアからの輸入量が減少気味である一方,南米2カ国からの輸入量が少しずつ増加している。2018年の粗銅輸入量は29千トンで,そのうち17千トンがザンビアよりの輸入であった。(2)需要1経済環境2018(平成30)年度の日本経済は,設備投資が回復を続け,所得・雇用環境の改善により,それが所得や消費の増大につながった結果,戦後最長の景気回復期となった。実質経済成長率は0.7%,国内企業物価上昇率は1.9%であったが,情報関連財を中心に輸出の伸びが鈍化したため輸出入収支は1.2兆円の輸入超過となった。また,米中間の貿易摩擦の激化による景気後退図2銅精鉱輸入量上位5カ国の輸入量推移不安や,英国のEU離脱の行方など世界経済の不透明感が高まった。(表15参照)こうした経済環境の下,銅の主要な需要分野のうち,電線向け需要が伸びたため,全体の銅需要量は2014年度以来の年間1,000千トン超となった。東京オリンピック向け需要や大型ビル案件などに支えられた建設向け電線や,高機能化による銅配線需要が伸びている自動車向けが需要増の主因である。2銅消費2018(平成30)年度の銅消費(過欠補正後の見掛値ベース)は,前年度比1.8%増の1,010千tとなり,4年ぶりに100万t台を回復した。2017年度に引き続き東京オリンピック向け需要や,自動車関連向け需要が伸びたことが主因である。主な用途別(報告値ベース)では,電線向けが6.4%増の698千t,伸銅品向けが0.1%増の335千tであった。(表11参照)3銅電線出荷2018(平成30)年度の銅電線出荷量は698千トンで2017年度比1.6%増であった。そのうち,内需は1.5%増の676千トン,輸出は5.9%増の22千トンであった。部門別内訳では,ハイブリッド化や高機能化の進展によって銅配線が増加傾向の自動車向けが継続的な伸びを示し,前年度比で3.7%増の85千トンとなった。また,5年前の2014年度比では18.1%増となった。その一方,最大の需要部門である建設・電販向けは前年度比では4.3%増の335千トンとなったものの,長期的出荷数量は一進一退であり,2014年度の340千トンと比べると微減であった。(表13参照)4伸銅品出荷2018(平成30)年度の伸銅品出荷量(製品量)は804千トンで,前年度比1.9%減であったが,銅純分推定量は335千トンで微増となった。部門別内訳では,高機能化の進む自動車向けを含む輸送機械部門の出荷量が前年度比で3.8%増の79千トンとなったものの,主力の電気機械向けは3.2%減の226千トンとなり,部門ごとの明-87-鉱山第778号2019年8・9月