ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

機器,銀ろう及びはんだからの銀需要の増加によって相殺された。三番目は,3年連続で銀鉱石の生産量が前年比約2%減少したことであった。これは主に鉛亜鉛鉱石の生産減によるものであった。さらに,銀の平均価格が約8%下落したことも要因で,スクラップ供給も縮小した。古い宝石類や銀器を市場へ戻すことを奨励された消費者が減少したことが,2018年の銀総供給量を同比約3%押し下げた。その結果,実需の需給バランスは29.2百万トロイオンス(908t)のわずかな不足になった。これは年間需要の約3%で,多かれ少なかれバランスの取れた市場と見なされる範囲内であった。その小さな不足は,ETP(Exchange TradedProduct=上場投資商品の略称で,証券取引所で日中取引される多種多様な金融商品を指す)(ETPはこの10年間で3番目の純減少を記録)から入手した金属によって吸収され,2018年はその純売上高が20.3百万トロイオンス(631t)となった。しかし,それにより世界各地の取引所倉庫に再び金属が持ち込まれ,取引所在庫の純増が38%に達した。その結果,2018年の需給バランスは80.1百万トロイオンス(2,491t)の不足となった。Ⅲ.リフィニティブによる世界の銀調査の方法及び需給策定の方法どの商品についてもほぼ同じことが言えるが,銀市場では需給の不均衡が物価の動き,価格のプレミア,マージン,リードタイムやスクラップのリサイクルパターンなどの物流分野に影響を与え,かつそれらの出来事がその不均衡によって説明される。銀も例外ではなく,実際,投資と投機的動きから様々な注目が集まっている。例えば,ETPの総保有額は2017年での微増から2018年には前年比3%減の649.5百万トロイオンス(20,203t)へと低下した。一方,地金とコイン向け消費は前年比20%強の181.2百万トロイオンス(5,637t)へ上昇した。投資に加えて,リスクと価格マネジメントに対処するために,銀はまた非常に活発な店頭(OTC)市場を持っている。広い経験則から,ロンドン現物市場(ロコ・ロンドン)はロンドン貴金属市場協会(LBMA)が公表したよりも2倍の販売数量があると推定されている。世界の店頭販売数量を見積もるために,リフィニティブはロコ・ロンドンが現在全体の約70%を占めていると仮定している。これを考慮すると,2018年の銀の店頭取引は6年連続で増加し,前年比2%増の1,650億トロイオンス(4,852,142t)となった。このレベルは,現在までの最高値(推定)を記録した1997年とほぼ同じであり,その年はLBMAがそのデータを公にし始めた年でもある。世界的な店頭取引は記録された最後のピークとほぼ同じであると推定される。2018年の銀価格の下落により,推定の全取引金額は前年比6%減の2.6兆米ドルとなった。銀を単純な工業用金属と区別するもう一つの要素は,銀が民間及び機関投資家,ユーザー,ディーラー,銀行,その他の団体によって地上資産として保有されていることである。これらの在庫の増減(ターミナル市場への出入り)は価格の動きによって左右される。実際のところ,電子機器から回収されるリサイクル用スクラップとは対照的に,古い宝飾品のスクラップ,コイン,地金(それらはおそらく銀市場で本当に価格に敏感である)はスクラップ在庫の大部分を占めている。リフィニティブの需給統計は,オーストラリア,中国,イギリス,アメリカ,インド,シンガポールに拠点を置く,フルタイムの調査分析チームによって収集及び照合される。業界人へのインタビューを含むフィールド調査プログラムも行っている。これらの銀研究を行うに当り,分析調査員は宝飾品や銀器の生産,コインの製造と販売,地金の販売,工業用製品生産,精製量,地上の地金在庫のシフト及びスクラップの鉱山第778号2019年8・9月-62-