ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

円/kg65,000¢/toz1,8001,70060,0001,600日本山元建値(左目盛)55,0001,500ハンディ・ハーマン社建値(右目盛)50,0001,400図2銀価格推移(月平均)パウエル氏は,新FRB議長として最初のスピーチを行った。彼の市場への見解はタカ派として解釈された。市場は次の3月18日の会合でFRBが金利を引き上げると予想していた。その結果,銀価格は弱含みとなった。その後,3月にロシアと米国の間の政治的緊張が高まり,金と銀の両方にある程度の反発がもたらされた。しかし,銀価格に予想された価格レベルは得られず,第1四半期末までに銀が$16台から$17台へ上昇することはなかった。ただ,価格は第1四半期で前期比0.2%の増となった。その後,第2四半期に貴金属市場が歴史的に軟調な相場となったため,銀価格は横ばい推移での展開となった。6月にかけて若干の急反発があったものの,4月から6月にかけては$16~17ドルが専らであった。4月には,10年物米債券利回りが3%に向かって上昇していたので,債券市場を取り巻く出来事が投資家の注目の的になった。この関心事は実際に米ドルを上昇させ,金と銀の価格に下落圧力をもたらした。6月末にかけて,米国と中国との潜在的な貿易戦争を取り巻く懸念が勢いを増したため,世界的な緊張が強まった。予想に反して,投資家は米ドルを究極の安全な資産避難所と捉え,その結果急上昇,金や銀を含む非鉄金属は打撃を受けた。7月初めに銀価格は2017年以来の$16台割れとなった。第2四半期では,前期比1.0%減となった。第3四半期に,英国政府と欧州連合(EU)とのブレグジット(英国のEU離脱交渉)は,重要で安全な離脱協定案をまとめることに失敗した。一方,米ドル指数はFRBのジェローム・パウエル議長のタカ派的なコメントに前向きに反応し,次回のFRBの会合で米国が金利引き上げに前向きだという市場の予想を裏付けることになった。市場が米中の貿易紛争に注目し続ける中,新興国市場は米国で予想される流動性引き締め策に伴う資本流出に苦しんでおり,その結果,新興国市場の通貨と株式の両方が下落した。一方,米国が堅調な経済指標を発表し続けたため,米国の株式は再び上昇し,米ドルの上昇とともに,銀価格は8月に$15水準を下回り,最終的に第3四半期は前期比9.5%の価格低下となった。銀価格はその上昇を12月まで待つことになっ-59-鉱山第778号2019年8・9月