ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

年比4%増加して$897/トロイオンスとなった。燃料費の上昇と品位の低下が,コスト上昇の主な理由だったが,オーストラリア,アルゼンチン,インドネシア,他の生産国での大幅な通貨下落によって一部相殺された。南アフリカは引き続き,鉱業コストの上昇の影響を最も受けた。電力の停電と生産量の減少が総キャッシュ・コストを前年比10%増の$1,107/トロイオンス,全経費を同12%増の$1,335/トロイオンスとさせた。世界の生産者ヘッジは,前年比4%増の219tだった。年間大半の米ドルの強さにより,オーストラリアとカナダの現地通貨建て金地金価格は過去最高水準に押し上げられた。とくに2018年第4四半期には,多くの企業が先物でヘッジした。トップ純ヘッジ御三家はゴールド・フィールズ,ニュークレスト,ウェストゴールドでヘッジに計29tを組み入れ,一方,ヘッジ解除の方はロシア企業が主導,ポリウスが15tのバリアオプションを行使し,ペトロパブロフスクは先物で6tをデリバーした。リフィニティブは,今の時点では好ましい価格環境が存在するため,ヘッジ活動は2019年第1四半期中も成長を続けると見込んでいる。2018年の世界のスクラップ供給量は2年連続で減少し,概ね安定した米ドル建て金価格がリサイクル率を高めることに失敗したため,前年比3%減の1,178tとなった。アジア市場は全体の55%近くを占めており,インドでは大幅に増加したにもかかわらず,2018年の同市場は前年比4%の減少となった。日本のスクラップの流れは日本政府による密輸金の取り締まりの結果,急激に減少し,リサイクル量はほぼ3分の1に減少した。その他の地域では,しっかりとした経済状況から北米でリサイクル量が減少したが,ヨーロッパでは,主として,トルコ国内の金価格を押し上げ,利益を生んだリラ安の後の同国のスクラップ量急増により,2018年のそのスクラップの流れが前年比2%増加した。4.2018年の世界の需要(表2,4,5参照)?宝飾品向け需要は前年比4%減の2,129tとなった。北米からの堅調な伸びがヨーロッパとアジア全体での減少により相殺された。?工業用で使用される金は2018年に緩やかな増加を見せ,この4年間で最高の391t(前年比3%増)に上昇した。これは,好調なエレクトロニクス部門が半導体市場の良好な状況を受け,堅調に推移したためである(同比4%増)。?公的部門の強い購入が工業用需要の増加と相まったものの,それが宝飾品向け及び小売投資の減によりほぼ相殺されたため,残念なことに2018年の総需要は前年比1%未満の減少でほとんど変化しなかった。?公的部門の純購入は21世紀で二番目に高い水準に達した。2018年は536tとなった。購入は主に新興市場から継続的行われた。金の総需要は,2017年の2桁増の後,2018年に1%未満減となった。宝飾品向け需要は,北米での増加がヨーロッパ及び中東での減少により相殺され,アジアではインドで二桁減になるなど,前年比で5%減少したことから,年ベースでは前年比4%減少した。一方,個人投資への金の需要は前年比11%減となり,地金投資も前年比19%減となり,投資関連は軟調な地合いが継続した。公的部門の純購入は第4四半期の大幅な伸びで前年比47%増の536tに達した。これは2012年以来の高水準となった。その他の需要分野では,工業用需要が2年連続で増加し,2017年の需要量を3%上回った。これは,エレクトロニクス部門からの継続的な成長に支えられた結果であり,同部門はこの4年間で一番高い288tに達した。世界の宝飾品向け需要は,2018年に前年比4%減少し,推定2,129tとなった。これは内政問題と貿易の停滞を受けた欧州全域での景気の弱さが,現地通貨安に伴うトルコの急激な需要減とイタリアの需要減から,ヨーロッパ全体の需要が前年比6%減の過去最低を記録したことによるものであった。この減少は北米の需要がドル高と経済の改善から前年比8%の大幅な伸びを鉱山第778号2019年8・9月-46-