ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

ても冴えない1年となった。この状況から脱して,2019年は果たして明るい年となるのであろうか。リフィニティブはこの2018年の需給概括の最後に自社の2019年の予想を述べている。それは,簡単に言えば,世界的な需給は2018年に続き,供給過剰になるものの,米中の貿易紛争や米連邦準備理事会(FRB)の金利の動き,またはその他諸々の経済及び政治動向等によって,投資家の金へ向かうセンチメントが刺激され,価格は2018年よりも堅調に推移するというものだ。これを書いている8月中旬では,金にとって強材料が出揃い,この予想通り急激な価格上昇を続けている。果たして,年末までこの状況が続くのであろうか,もう少し様子をみてみたい。2.2018年の需給総括(表2参照)簡単に言ってしまえば,1年間では多くのことが起こるが,2018年はその多くのこと,すなわち年間を通して変動する政治的及び経済的活動により,CBOEボラティリティ指数(シカゴ・オプション取引所(CBOE)が,S&P500(S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカの代表的な株価指数)を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出,公表している指数。数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる。通常は10から20の間で推移する。1993年より発表されるようになった)が2017年の記録的な低水準からリバウンドして,2018年2月に2015年8月以来の最高水準に到達した年となった。しかし,それにもかかわらず,年間平均ベースでの金価格は,3年連続の増加を記録しながらも,2018年では前年比僅か0.9%しか上昇しなかった(同様に2017年では,たったの0.5%の上昇)。これは,2年連続で金価格が異常だったといわざるを得ない。というのも,2017年以前の10年間では,その変動はほぼ5%(高低にかかわらず)もあり,中には二桁の増減も示し,大きな変動を見せてきた。一方,需要と供給に関しては,潤沢であることが望ましいが,2018年の金市場は,宝飾品需要と小売りの両方の減によって導き出された総需要減が鉱石生産の増加を相殺できなかったため,2003年以来の高水準である485tの供給過剰となり,かなりオーバー気味のファンダメンタルズを提示した。2018年は世界銀行からの前向きな経済見通しにより楽観的な見方でスタートしたが,多くの経済状況(米国を除く)は年末に悪化した(例えば,中国のGDP成長率が28年間で最低水準に落ち込んだ)。一方,米国のインフレ率が上昇したことで,米財務省の利回りは2013年末以来の高水準となったため,米連邦準備理事会(FRB)表2世界の金需給(単位:t,%)2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年18/17供給鉱石生産2,6512,7712,8682,8823,0763,1803,2223,2523,2593,3322.2スクラップ1,7651,7431,6981,7001,3031,1591,1801,3061,2101,178▲2.6ヘッジによる供給量(ネット量)▲234▲10618▲40▲391082132▲41▲8-供給計4,1824,4074,5844,5434,3404,4464,4224,5904,4284,5021.7需要実需宝飾品1,8792,0962,1092,0752,7372,5692,4741,9622,2222,129▲4.2工業用需要4264804704324284113763663803912.9エレクトロニクス2953463423103062972672642772884.0歯科材料534843393634323029290.0その他798685848580767173741.4公的機関購入▲347745754440946644325336653646.4個人投資8661,2631,6171,4071,8711,1651,1721,0511,031923▲10.5地金5629461,2481,0571,444886875785771626▲18.8コイン30431736935042627929626626129713.8実需計3,1383,9154,6524,4585,4454,6114,4643,6313,9993,980▲0.5実需過欠(供給計-実需計)1,044492▲6985▲1,105▲164▲4295942952221.7上場投資信託(ETF)在庫増減623384189279▲879▲155▲11753917759▲66.7取引所在庫増減3954▲6▲10▲981▲48860▲21-ネットバランス(実需過欠-ETF在庫増減-取引所在庫増減)38254▲251▲185▲129▲1012433425248592.5金現物価格平均(ロンドン後場,$/toz)972.351,224.521,571.691,668.981,411.231,266.401,160.061,250.801,257.151,268.490.9(注)各数値四捨五入のため合計値が合わない場合がある。生産者ヘッジ(ネット量)は市場における鉱山会社のゴールド・ローン,先物売り,オプション取引の増減である。出所:GFMS Gold Survey 2019 (REFINITIV社編)-43-鉱山第778号2019年8・9月