ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

材料に円強含みで推移し,月末では概ね$1=110円水準での展開となった。月末の29日には$1=110.28円をつけ,本年2月初旬以来ほぼ5ヵ月ぶりの円高・ドル安水準となって翌月入りした。5月上旬では,米中貿易協議の先行きを巡る不透明感から,低リスク通貨とされる円を買ってドルを売る動きが優勢だった。中旬では,米中の貿易協議を巡り交渉継続への期待から投資家のリスク回避姿勢がやや和らいだ場面で円売りが出たものの,下旬入りすると,米中交渉がうまく運ばず,先行きの米中の貿易摩擦の激化が改めて意識されたことから円が月末にかけて反発し,$1=111円水準から$1=110円水準へ価格水準を切り上げた。29日には上記通り,ほぼ5ヵ月ぶりの円高値をつけ,31日もほぼ29日水準と同じ,$1=110.36円となって越月した。5月の円の対ユーロの動きも,対ドルと同様,上旬での円安・ユーロ高から下旬での円高・ユーロ安へ移行した。これは主に欧州での政治情勢の不安定さや米中貿易摩擦の余波が関係していた。31日の?1=123.24円は2017年5月以来2年ぶりの円高・ユーロ安となった。6月は3日に$1=109.34円と円高が進んでスタート,4日に米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測を受けて円高・ドル安が進行し,$1=108.92円と本年1月初め以来5ヵ月ぶりの円高・ドル安水準となった。しかし,その後中旬にかけては,米中貿易協議等を巡る不透明感が根強く,様子見状態が続いたことから$1=109円水準で横ばい推移となった。この間,13日に中東のホルムズ海峡付近で日本関係の積み荷を運搬していた船が2隻攻撃されたと伝わったが,為替相場,特に円相場には目立った動きはなかった。ところが,20日には,前日の19日に米連邦準備理事会(FRB)が,景気減速リスクが強まれば年内に利下げに踏み切る可能性を示唆したことで,円買いの動きが進行,4日を上回る$1=108.79円まで一気に円高・ドル安が進んだ。さらに,トランプ米政権が24日,イランへの追加経済制裁を発表し,中東情勢の悪化懸念が強まったことで積極的な円買いが増加,25日には$1=108.23円と2018年4月以来1年2ヵ月ぶりの円高・ドル安水準となった。その後月末にかけては,週末の20ヵ国・地域首脳会合(G20)で米中貿易協議が進展するとの期待からやや円売りが優勢となり,28日には$1=108.79円とややドルが戻して越月した。6月の円の対ユーロの動きは?1=122~124円内の小動きに終始した。中旬で欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が追加の金融緩和に触れたことで,円高が進行するかに見えたが,長くは続かなかった。上でも述べたとおり,7月以降も円高基調が継続しており,8月には$1=107円水準へ到達し,6月同様,2018年4月以来の円高・ドル安水準となった。Ⅲ.世界の需給動向1.概況2018年の金市場について,昨年トムソン・ロイター(フィナンシャル&リスク部門)から社名を変更したリフィニティブ(=Refinitivは,金融情報やリスク管理などのサービスを提供する企業として2018年10月1日に誕生した。前身はトムソン・ロイターのファイナンシャル&リスク部門で,トムソン・ロイターとブラックストーン・グループ率いるプライベートエクイティ(PE)の間で締結された戦略的パートナーシップ合意に基づき,ファイナンシャル&リスク部門の株式をトムソン・ロイターが45%,ブラックストーン側が55%それぞれ保有し,トムソン・ロイターから離すこととなった。なお,海外の金銀需給関連の統計はすべてリフィニティブが作成)は,以下のようにまとめている。世界中で出来事は起きたが,金価格はダルだった。需要も良くなく,供給過剰が4年連続となり,その過剰幅も2003年以来の高水準と,需給に関し鉱山第778号2019年8・9月-42-