ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

し小幅に下落したことで,$1,320台で推移,上向きかけた動きを見せたが,中旬後半では,相場を押し上げていた中東等での地政学リスクへの反応が薄れ,市場の関心が米金利上昇やドル高など金の弱材料に移ったことで,調整局面入りとなり,15日には2017年12月以来の$1,300台割れとなった。その後も,下旬前半にかけて,ドルの独歩高を背景に$1,300水準を下回る値動きとなったが,24日にトランプ米大統領が6月に予定していた北朝鮮との会談の中止を発表し,米朝関係の先行き不透明感が強まったことで,金相場はあっさり$1,300台を回復した。だが,それも束の間,北朝鮮が会談に対し再調整する動きを見せたこともあって,29日には再び$1,300台を割り込んだ。しかしながら,翌30,31日には南欧での政治懸念の高まりが金の強材料となったことで,再度$1,300台を回復,31日には$1,305.35をつけて越月した。6月は1日に$1,299.15と$1,300台割れでスタート,上旬では1日の米雇用統計の結果を受けた米国の利上げ加速意識や保護主義の思惑が広がる中,$1,300を挟んで上値の重い展開が続いた。中旬では,前半,ドルが対主要通貨で上昇し,朝鮮半島の地政学的リスクが12日の米朝首脳会談でやや後退したとの見方から,$1,300水準を割り込む軟調推移となった。だが,後半では,売られすぎ感による買いやドル高から,一時的に$1,300台に戻す場面もみられた。それでも下旬では,米中貿易摩擦が激化するとの思惑が広がる中,商品全般に売りが出たことで,金もその「安全資産」の側面を意識されることなく続落基調を辿った。この間,米朝首脳会談終了後の地政学的リスクへの懸念後退,米利上げやドル高などの逆風も金を下押しさせる方向に働いた。月末では,ドル高がさらに強まったことで中旬の$1,270~1,280水準から$1,250水準まで一気に下落した。29日は$1,250.45と月間最安値をつけるとともに前年12月以来約半年ぶりの安値となって越月した。(3)2018(平成30)年7~9月7月は2日に$1,249.00でスタート,上旬は値を動かす材料がないまま$1,250台半ばで横ばい推移した。トランプ米大統領が10日夕に中国に対する報復関税の追加措置を発表し,中国も対抗姿勢を見せたことで,中旬にかけて金相場は続落した。13日に$1,240水準へ下落すると,19日には,米中貿易摩擦の激化で世界の経済成長が鈍るとの見方から銅など工業用金属が下落し,金にも売りが波及したため,$1,217.40まで下げ,前年7月以来1年ぶりの安値をつけた。ここまで下げた要因としては,上記の貿易摩擦以外にも,好調な米国の経済指標や米連邦準備理事会(FRB)による利上げ加速への意識の高まり,金の上場投資信託(ETF)での顕著な資金流出等が存在した。その後下旬にかけては,トランプ米大統領の発言を起因としたドル安基調から,徐々に値を戻し始めた。月末では,一時的なドル反発から下げる場面もあったが,概ね$1,220台で推移,31日も$1,220.95をつけて越月した。8月は1日に$1,222.75と安値圏でスタート,ドル高や米金利上昇で金利のつかない金は魅力が薄れ,週末の3日には$1,207.70と1年ぶりの安値圏に沈んだ。その後も上旬にかけ,ドル高や米金利上昇で金からの資金流出が目立ちはじめたことで,$1,210水準前後で小安く推移した。さらに,米中貿易戦争による金の実需減への懸念やトルコリラ急落を起因とした新興国通貨の売りによるドル高を背景に続落,14日には2017年3月以来の$1,200台割れとなった。17日には$1,176.70まで続落し,2017年1月以来1年7ヵ月ぶりの安値水準へ落ち込んだ。しかし,下旬ではドルがユーロなどに対して下落し,ドルの代替投資先とされる金が買われたことで,やや持ち直し,月末ではさらにドルが円やユーロなどに対し続落基調を辿ったことで,金上昇が加速,28日に$1,200台を回復して$1,212.75をつけた。その後,月末にかけてドル反発場面では$1,200水準を下回ることもあったが,31日にはドル反落を受け$1,202.45と$1,200台鉱山第778号2019年8・9月-32-