ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

市況・需給非鉄金属市況金【海外】I.価格1.概要(図1,2,表1参照)この数年間,同じ言い回しの繰り返しで,耳にたこができている読者の方々もいらっしゃると思われるが,2018年の海外金現物相場(ここではロンドン現物市場価格,すなわちロンドン貴金属市場協会(LBMA)価格)も,ここ数年と同じく変化の乏しい,ほぼ横這い状態で推移した。この年2018年も含め,この5年間,ほぼ$1,000~1,400/toz(トロイオンス,米ドル建て金価格はすべてトロイオンス当たりの価格,1トロイオンスは約31g(グラム),以下同じ)の狭い範囲内の小動きに終始している。この間,金相場を動かす大きな材料がなかった訳ではない。一時的にせよ,強材料によって大きく反発するか,もしくは下割れするか,分岐点らしき時もあったが,投資家を喜ばせるような,大きな上下動は長くは続かず,ほとんど狭い範囲であまり動きのない価格推移が続いた。ところが,2019年の夏を迎え,非常にダイナミックな動きを見せ始めた。2004年頃からスタートした金相場の上昇を再び見ることが出来るのであろうか。ただし,その材料は経済的,地政学的には良くない材料の目白押しで,ベースメタルにとっては悪い材料であり,それらの価格の下押しを促すことになっている。手放しで喜ぶことは出来ないのが実情だ。来年の初め頃までに方向性は出ているのだろうか。こればかりは軽々に予測することは出来ない。2018年の最高値は1月25日の$1,360.25(前場),最安値は8月17日の$1,176.70(前場)だった。2.価格動向(1)2018(平成30)年1~3月2018年1月は2日に$1,312.80と$1,300台を回復してスタート,上旬から中旬にかけてドル安を背景に$1,310水準から$1,330水準へ上昇し,堅調な動きを示した。上旬では,イラン情勢の緊迫化や2017年12月の米雇用統計の結果から米国の利上げペースは加速しないとの見方が浸透したことが,価格上昇へつながった。中,下旬でも,ドル安を主因に高値を維持,$1,330~1,340水準で推移した。この間,米長期金利が上昇したが,欧州など各国の金融政策が引き締め方向に向かい,主要通貨に対してドルがドル安方向に転換,ドル建て金価格を押し上げることになった。24日は米財務長官のドル安容認発言が出てドル安が進み,25日は$1,360.25と2016年8月以来1年5ヵ月ぶりの高値となった。25日には,24日の財務長官発言とは逆のトランプ米大統領のドル高容認発言が出たが,ドルが大きく戻らず,ドル建て金価格への影響は限定的だった。それでも,若干のドル反発により,25日の高値を$15ほど下回る$1,345水準となり,31日には$1,345.05をつけて越月した。2月は1日に$1,341.10でスタート,2月は月初から月末にかけて概ねドル相場の値動きに合-29-鉱山第778号2019年8・9月