ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

部会報告(再資源化部会)JX金属グループ関連施設見学記~JX金属苫小牧ケミカル株式会社・豊羽鉱山株式会社~大平洋金属株式会社高橋直樹再資源化部会の2019年度第1回現場勉強会は,2019年7月4日(木)~5日(金)の2日間に渡り開催され,豊羽鉱山㈱,JX金属苫小牧ケミカル㈱のJX金属グループ会社を見学させていただきました。7月4日12時30分,新千歳空港での集合であったのですが,羽田からの到着便が1時間以上遅れ,その後のスケジュールに影響を与える結果となりました。これは九州から関東にかけて前線の停滞による大雨が影響しており,北海道においてもその影響からか旅程全体において,霧がかかった視界の利かない状態が続きました。今回の勉強会は総勢12名,飛行機の到着遅れを挽回すべく,豊羽鉱山までの移動のバス内にて第2回再資源化部会を開催しました。主題は,小型家電リサイクル審議会(産構審・中環審合同会合)報告事項について,各社から寄せられた各課題,要望事項について委員の意見を確認しました。部会終了後間もなくして豊羽鉱山に到着しました。豊羽鉱山は,当時の新日鉱グループ(現JXTGグループ)の豊羽鉱山㈱が操業していました。札幌市の奥座敷といわれる定山渓温泉から約13km西,札幌市中心部からは約40km南西に位置します。豊羽鉱山の周辺は本山地区とも呼ばれています。2000年末時点で坑内作業員の輸送用のエレベーターは,地下約600mまであり,坑道の総延長は40km以上に達していました。豊羽鉱山は鉱床深部になるにつれて地熱の影響で採掘環境が高温となり,冷却設備を施すとコスト高となることから,従来工法での可採範囲の資源枯渇を理由に2006年3月31日をもって採掘を停止,閉山しました。採掘の対象だった鉱脈自体はさらに深部まで存在することが確認されていますが,発破に使用するダイナマイトが岩盤の高温に耐えられず(自然発火),現在の採掘技術では事業継続が不可能となったためです。鉱山における環境保全の取組みは,操業中はもちろん,操業休止後も続いています。特に,坑水(坑内からの湧水)や廃水(鉱さいの堆積場からの浸透水)は金属を含んでいるため恒久的に無害化して,周辺河川などの汚濁を防ぐ対策が必要です。坑廃水は,休廃止後に残る鉱石やその周辺の変質岩,これらを破砕・処理したズリ・捨石や選鉱廃さいが,空気や水に接触することにより写真1本山の全景-243-鉱山第778号2019年8・9月