ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

大幅に修正する事例も増加している。6最近の開発投資において,ESGやSDGsなどの自然環境及び地域社会の保全に対する意識の高まりにより,コストの増加に加え,手続きや対応が煩雑化し,開発の可否が見通しづらくなってきている。このように海外鉱山開発を巡りますます増大するリスクに対する軽減措置として,本制度は非常に重要な役割を果たしているので,積立期間延長,申請・認可手続きの簡素化,事後手続化,資源開発投資法人に対する積立率を改めて引き上げることなど一部拡充のうえでの恒久化をお願いしたい。3.金属鉱業等鉱害防止準備金制度の拡充及び維持・存続(租税特別措置法第55条の5,第68条の44)金属鉱物の採掘等の事業の用に供される坑道及び捨石又は鉱さいの集積場の使用終了後における鉱害防止事業の確実かつ永続的な実施を図ることを目的に,昭和48年に「金属鉱業等鉱害対策特別措置法」(以下,「特措法」という)が制定され,産業保安監督部長の通知する金額を鉱害防止積立金(以下,「積立金」という)として独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に積み立てることが義務付けられた。その結果,北上川や神通川がきれいになり,日本は鉱害問題については世界でもトップクラスの対応をしていると誇れる状態になった。その「特措法」を作る時の議論を振り返ると,こと水処理に関しては閉山後も未来永劫続けなければならない制度設計となっており,産業界にとって大きな負担となることについて国会で審議され,この「積立金」に対して税制上の優遇措置を講じるべきであるとの付帯決議が出された。この付帯決議に基づき創設されたのが「本制度」であり,当時の制度設計に変更は無いことから,こうした立法の経緯に鑑み,「特措法」が存続する限りは,何としても「本制度」を残していただきたい。また資源確保の観点からいうと,現在日本では非鉄金属の鉱山は非常に限られた所にしか残っておらず,我々非鉄金属業界は,海外に活路を見出さざるを得ない。海外で鉱山を自主開発するに際し必要な許認可等を取得するにあたっては,高い鉱山技術力に加え,国内において閉山時の環境対策をきちんと行い,閉山後も環境管理をしっかりと行う技術力を有していることが求められている。それらができるのは「本制度」を始めとした国の制度や支援があるからであり,本制度の維持・存続を強く要望する。併せて,平成28年度の税制改正で80%に縮減された積立金の損金算入割合については,制度の趣旨に鑑み従前同様の100%に回復していただきたい。4.軽油引取税の課税免除の特例の維持・存続(地方税法第2章第7節の2)本税は地方税の目的税(道路特定財源)として新設され,その後,平成21年度税制改正において一般税に変更された経緯があるが,公道走行を伴わない鉱山坑内での使用等,政策的配慮から特定の用途については課税を免除されて来た。本特例措置が廃止された場合,事業者による価格転嫁は難しく,鉱山経営の悪化から安定供給が損なわれる懸念もあり,維持・存続をお願いしたい。5.非鉄金属鉱業に係る外国子会社合算税制の適用要件緩和(租税特別措置法66条の6,68条の90)-233-鉱山第778号2019年8・9月