ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

ページ
228/278

このページは 鉱山2019年8・9月号 の電子ブックに掲載されている228ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

鉱山2019年8・9月号

労働労働事情1.2018年春季交渉概況連合は,2017年12月5日,第76回中央委員会を開催し,「2018春季生活闘争方針」を決定した。方針では,「経済の自律的成長」「社会の持続性」を実現するためには,「底上げ・底支え」「格差是正」による継続した所得の向上が不可欠であり,すべての労使が社会的役割と責任を意識して労働条件の改善を図るべく,月例賃金の引上げにこだわり,賃金引上げの流れを継続・定着させるとの方針を掲げた。具体的な要求水準としては,前年と同様に,定昇相当分(賃金カーブ維持相当)を確保した上で「2%程度を基準」とする方針(合計で4%程度)を掲げ,5年連続となるベースアップ要求である。また,「大手追従・大手準拠などの構造を転換する運動」を更に前進させることが重要であるとして,中小組合(組合員数300人未満)に対して,大手との格差是正を図る観点から総額10,500円以上(賃上げ水準目標6,000円(ベア相当)+賃金カーブ維持相当分4,500円)の実現や,時給1,000円超の場合は37円を目安とした引上げ要求などの賃金(時給)引上げに関する取組みのほか,雇用の安定や雇用形態の不合理な労働条件の点検・改善などを掲げた。一方,経団連は,春季労使交渉における経営側の基本スタンスを示す「2018年版経営労働政策委員会報告」にイノベーションの創出や働き方改革などを通じた生産性の向上に取り組み,従来より踏み込んだ処遇改善を図ることで,企業規模に関わらず賃金引上げのモメンタムの一層の強化に努め,デフレからの完全な脱却と経済の好循環の更なる拡大に貢献していくとの基本認識を示した。賃金引上げの基本的な考え方については,様々な考慮要素を勘案しながら,適切な総額人件費管理の下,自社の支払能力を踏まえ,労働組合等との協議を経た上で決めるとの「賃金決定の大原則」に則り,社会的期待を意識しながら自社の収益に見合った前向きな検討が望まれるとした。その上で,収益が拡大している企業や,中期的に収益体質が改善した企業においては,基本給の一律的な引上げや特定層への重点配分,賞与・一時金の増額,諸手当の改定・見直しなどの多様な手法によって,年収ベースの賃金引上げを基本としながら,月例賃金や総合的な処遇改善への積極的な対応を求めた。労使双方から基本的な考え方が示された後,2月中旬から順次,大手企業の労働組合を中心に,経営側へ要求が提示された。多くの労働組合が,月例賃金については定期昇給とあわせて賃金改善やベースアップの実施を掲げ,賞与・一時金については昨年実績を中心に,自社の業績を踏まえた水準での支給を求めた。3月中旬以降,多くの大手企業が示した回答は,月例賃金では,定期昇給の実施(賃金カーブ維持)に加え,4年連続となるベースアップ実施という内容であった。経団連が集計した月例賃金引上げの平均妥結額は,大手企業で8,539円,アップ率2.53%で,2015年以来3年ぶりに8,000円を超え,2.5%を上回った。中小企業においても4,804円,アップ率1.89%で,4年連続の4,500円超,1.8%台を記録した。鉱山第778号2019年8・9月-220-