ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

運輸輸送関係の動向1)海上輸送する固体ばら積み貨物に係る規則の改正について固体ばら積み貨物を海上で安全に運送するための国際基準である国際海上固体ばら積み貨物規則(IMSBCコード)の第2次改正が平成27年1月1日より発効し,液状化物質をばら積みして運送する場合の規制が強化された。我が国においても,国際基準との整合を図るため,特殊貨物船舶運送規則及び関連告示等の改正が平成26年10月1日に公布され,平成27年1月1日から施行された(改正の一部は平成26年10月1日に施行)。同改正では,1液状化物質(航行中に液状化するおそれのある微細な粒状物質)をばら積みして運送する荷送人に対し,国の承認を受けた「水分管理手順書」に従った液状化物質の水分の適切な管理を義務付け,2従来,国又は登録機関で行うこととされていた水分の測定を,水分管理手順書に従って行い本邦内で運送する場合に限り,荷送人自らが実施可とし,3IMSBCコードにおいて追加又は種別の変更があった物質(水酸化アルミニウム等),国内査定を受けている物質(石炭灰固化体等)が関連告示に追加された。また,非鉄スラグ(銅スラグ,亜鉛スラグ)と化学石膏のIMSBCコードへの登録が平成26年5月に国際海事機関(IMO)小委員会編集・技術会合で承認され,平成29年1月以降,種別A(液状化物質)の運送要件で運ぶこととなった。なお,平成29年6月の第98回海上安全委員会(MSC98)で採択されたIMSBCコードの第4次改正は,平成30年12月25日に改正された特殊貨物船舶運送規則等関連告示により担保され,平成31年1月の改正発効にあわせて施行された。2)MARPOL条約(海洋汚染防止条約)附属書Ⅴにおける貨物残留物排出規制(長期健康有害性)に係る荷主の宣告義務化についてMARPOL条約附属書Ⅴにおける貨物残留物は,海洋環境に有害(HME)でないものに限り船舶から海洋への排出が認められている。貨物がHMEに該当するか否かの判定は,7つの項目(1.急性水生毒性,2.慢性水生毒性,3.発がん性,4.生殖細胞変異原性,5.生殖毒性,6.反復ばく露特定標的臓器毒性,7.合成高分子)に基づいて実施する必要があるが,長期健康有害性(3.発がん性,4.生殖細胞変異原性,5.生殖毒性,6.反復ばく露特定標的臓器毒性)に該当するかどうかの判定が容易でないことから,これまで長期健康有害性の判定は義務化されていなかった。平成28年10月のMEPC70(海洋環境保護委員会)でHMEに関する附属書Ⅴの改正が採択され,海上輸送される固体ばら積み貨物の荷送人は,その貨物が上記7つの判定基準に該当するかどうかを判断し,「HMEであることの宣言書」又は「HMEでないことの宣言書」(デクラレーション・レター)を船長に渡すことが義務付けられた。これを受け国内法令(海洋汚染等防止法施行規則)が改正され,平成30年3月以降,3~6の長期健康有害性に関しても船舶が貨物残留物を排出する際の判定の基準として義務化され,荷鉱山第778号2019年8・9月-218-