ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

ページ
22/278

このページは 鉱山2019年8・9月号 の電子ブックに掲載されている22ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

鉱山2019年8・9月号

2017(平成29)年8月16日に発効された,水銀に関する水俣条約に係る法律の中で,非鉄金属の一次製錬からの硫酸スラッジが水銀含有再生資源に該当する。水銀廃棄物については長期的な管理スキームが必要となる。鉱業協会はその在り方について,現行の野村興産㈱イトムカ鉱業所での分離回収スキームを最適としており,国内保管スキームの構築など水銀含有再生資源の適正な管理について国の関与を要望し続けていく。さらに,最終処分についても検討を進めていく。日本経団連が提唱した「循環型社会形成編」に非鉄製錬業界も参画し,2018(平成30)年度のフォローアップ調査に参加した。産業廃棄物最終処分量の削減目標として,産業界全体では「2020(令和2)年度に2000(平成12)年度実績比70%程度削減」を目指すとしている。非鉄製錬業界では一次製錬(銅,鉛,亜鉛,フェロニッケル)の最終処分量を2020(令和2)年度に27万トン以下にする目標値に対して,2017(平成29)年度の実績値は32.4万トンであった。今後の目標達成を目指す。排水規制については,暫定排水基準の検討が順次行われている。見直しの結果,ほう素は100mg/Lの暫定基準を2022(令和4)年6月まで適用,カドミウムは金属鉱業の0.08mg/Lの暫定基準を2017(平成29)年12月から0.03mg/Lの一律排水基準へ移行済み,亜鉛は金属鉱業5mg/Lの暫定基準が2021(令和3)年12月まで適用されることになっている。諸外国で導入されている生物応答性を利用した排水管理手法(WET)の日本への導入について,環境省はそのパイロット事業を2016(平成28)年から2018(平成30)年度にかけて継続して実施し,2019(平成31)年3月末に中間報告を取りまとめた。評価手法として有効であるとしており,引き続き環境省の動きを注視する。保安に関しては,会員各社の事業所にて現地安全情報交換会等を実施,拡大安全衛生委員会の開催等,安全成績向上を目指して諸活動を実施した。2019(令和元)年は9月に隔年開催の環境・安全担当者会議を開催する。・運輸海上輸送する固体ばら積み貨物は,国際基準「国際海上固体ばら積み貨物規制(IMSBCコード)」に従い運送される。我が国においても「特殊貨物船舶運送規則及び関連告示等」が施行されている。2017(平成29)年6月の第98回海上安全委員会(MSC98)で採択されたIMSBCコードの第4次改正は,2018(平成30)年12月25日に改正された「特殊貨物船舶運送規則等関連告示」により担保され,2019(平成31)年1月の改正発効にあわせて施行された。海洋汚染防止条約(MARPOL条約)附属書Ⅴにおける貨物残留物排出規制(長期健康有害性)に係る荷主の宣告義務化に関しては,有害性の判定が困難ということからこれまで実施していなかったが,2016(平成28)年10月に海洋環境保護委員会(MEPC)で附属書Ⅴの改正が採択された。これを受け,国内法令「海洋汚染等防止法施行規則」が改正され,2018(平成30)年3月以降,荷送人が船長に対しその貨物が有害か否かについて宣言することとなった。・鉛亜鉛需要開発センター鉛部門では,鉛遮音・遮蔽板委員会で医療用,原子力設備用の遮蔽用途,その他の産業用の需要動向調査ならびに販売データ解析を実施した。2017(平成29)年度に作成した鉛複合板のPR資料を微修正し,活用促進に努めた。ダイカスト用亜鉛合金部門では,新たに「亜鉛合金ダイカストの高靱性化鋳造プロセスの開発」に取り組んだ。鉱山第778号2019年8・9月-14-