ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

長期温暖化対策に関する経団連のスタンスは,これまでもパリ協定長期成長戦略懇談会での議論の場や,「今後の地球温暖化対策に関する提言」(2017年10月)の中で示されてきたが,改めて,2019年3月に我が国が取りまとめる長期戦略のあり方について提言がなされ,5月には,『G20大阪サミット議長国・日本として,「脱炭素社会」という最終到達点に向け,「非連続なイノベーション」を軸に「環境と成長の好循環」を実現するという野心的な「ビジョン」を世界に示す内容であり,評価できる。こうした長期戦略案の基本的骨格は維持すべきである。また,この野心的な「ビジョン」の実現には,経済界のみならず,国,地方自治体,教育・研究機関,家庭部門といった国民各層が国を挙げて,これまでの延長線上にない様々なチャレンジに取り組んでいく必要がある。』という認識でのパブリックコメントが示された。当協会の地球温暖化対策に係る長期ビジョンのあり方についても,パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略や経団連からの提言・パブリックコメントなどを踏まえ,委員会活動を通して検討策定することとしている。(3)地球温暖化対策に関する政策的コスト負担の抑制COP21のパリ協定の採択を受けて,我が国では約束草案の実現,長期目標への対応のため様々な施策の具体化が進んでいる。さらに,2018年12月にポーランド・カトィヴツェで開催されたCOP24では,その実施指針の基本部分も採択された。米国・トランプ政権による協定離脱への懸念がある中,実施指針や市場メカニズム等に関する検討は持ち越されたが,国際社会は,地球の気温上昇を2℃未満に抑制(1.5℃に抑制する努力を追求)する目標の達成に向け新たな計画を推進している。当協会は,動きが加速している昨今の政府動向,経団連をはじめとする地球温暖化防止対策に関する産業界の対応を注視し,過度な政策的コスト負担が強いられることがないよう意見具申,鉱業政策要望を行った。a.地球温暖化対策計画への対応政府は,2016年5月,「日本の約束草案」を踏まえ,「地球温暖化対策計画」を決定した。「地球温暖化対策計画」は,中期目標として2030年度に地球温暖化ガスを2013年度比で26%削減することについて,各主体が取り組むべき対策や国の施策を明らかにし,削減目標達成への道筋を付けるとともに,長期的目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すことを示した。当協会としては,政府の地球温暖化対策計画,経団連の低炭素社会実行計画の方向との整合を図り,1グローバルな貢献,2製品・サービスのライフサイクルや企業のバリューチェーンを通じた貢献,3イノベーションの創出,など環境と経済の両立,不確実性に柔軟に対応できる仕組みの構築,長期目標である2050年80%削減の方向性の明確化,そしてエネルギー政策等との整合性を踏まえ省エネ部会電気委員会合同会議での活動を通して継続している。2017年4月の経産省長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書では,産業界が「グローバル・バリューチェーン(以下,GVC)を通じた貢献」を目指し,「見える化」していくことが必要と提言された。我が国「低炭素社会実行計画」は,産業界が業界毎に自主的に削減目標を設定し推進している。既に,対策の柱として,「低炭素製品・サービス等による他部門での削減」「海外での削減貢献」が重要と位置付けられているが,各業界任せであった削減貢献量「見える化」を,各業界のGVCを通じた貢献の取り組みの透明性向上と拡大を図るために,2017年12月経産省は,グローバル・バリューチェーン貢献研究会を設置した。本研究会では,「各業界が貢献量を試算し,対外的に説明する際に参考とできる汎用性のあるガイドライン」を2017年度末に策定した。当協会は,本研究会にオブザーバーとして活-189-鉱山第778号2019年8・9月