ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

れた。「パリ協定」は,「世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃より十分低く保つ」等,実質的な排出量ゼロへ向けて世界全体の気候変動(温暖化)対策を継続的に強化していく方向が明確に示されたこと,また,先進国と途上国の196カ国が団結して取り組んでいく姿勢が示されたことの点で画期的な国際合意があり,大きな意義を持つ。しかしながら,非現実的なトップダウンの温度目標と現実的なボトムアップのプレッジ&レビューメカニズムが共存する中で,そのギャップを革新的技術開発で埋めることができるかが,「パリ協定」の最大の課題である。出典:経済産業省産業構造審議会産業技術環境分科会(第4回)資料図9地球温暖化対策の国際的取組み経緯2018年12月,パリ協定の実施指針の採択に向け,国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24),京都議定書第14回締約国会合(CMP14),パリ協定第1回締約国会合第3部(CMA1-3)等が,ポーランド・カトヴィツェで行われた。COP24では,2020年以降のパリ協定の本格運用に向けて,パリ協定の実施指針を採択した。概要,我が国の取組みの発信及び評価は以下の通り。(ア)概要1パリ協定の実施指針本会合では,2020年以降のパリ協定の本格運用に向けて,パリ協定の実施指針採択を目指し,議論が行われた。併せて,パリ協定特別作業部会第1回会合第7部(APA1-7)・第49回補助機関会合(SB49)が開催され,技術的な交渉を行い,緩和・適応・透明性枠組み・市場メカニズム・資金等について,APA・SB共同議長が事前に用意した提案の改訂作業が行われた。第2週には,APA・SBでの議論の成果を土台に,COPにて技術的な議論を継続,政治レベルで解決が必要な論点について,並行して閣僚級の交渉が行われた。2気候資金2013?2017年の先進国から途上国への気候変動対策にかかる支援実績報告書がOECDから公表され,2020年において先進国全体で年間1000億ドルの資金支援を達成するとの目標の着実な進捗が確認された。パリ協定実施指針交渉においては,気候資金の事前情報(パリ協定第9条5),事後情報の報告方法(パリ協定第9条7)について,各国の裁量を確保した形で透明性のある報告システムの確立について合意した。また,事前情報の報告に関してワークショップの開催及び閣僚級会合の開催が決定された。さらに,2025年以降の長期目標の設定については,年間1000億ドルの長期資金目標の達成状況や途上国のニーズや優先事項も踏まえつつ,全ての資金フローをパリ協定の長期目標に整合的にするための議論の必要性が確認された。3タラノア対話*1パリ協定の長期目標達成に向け,世界全体の温室効果ガス排出削減の取組状況を確認し,野心の向上を目指す,「タラノア対話」の政治フェーズが実施された。各国の経験やビジョンを共有する閣僚級ラウンドテーブルが開催され,我が国から原田環境大臣が参加。我が国が「環境と成長の好循環」を実現する世界のモデルとなる強い決意を示すとともに,温室効果ガス観測技術衛星「いぶき2号」による各国のインベントリの精度向上への貢献,浮体式洋上風力発電の商業化,二国間クレジット制度(JCM)を通じた途上国における脱鉱山第778号2019年8・9月-186-