ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

当協会は,電気やエネルギーの使用者である製造業に対して最も影響の大きい「経済効率性」,特に電力コストの部分にものづくり産業が一丸となって,需要家の立場からコストの重要性を関係各方面に訴えるべく,日本鉄鋼連盟からの共同要望活動の要請へ賛同し,具体的な共同要望活動を進めた。a.『電気料金抑制を実現するエネルギー・温暖化政策を求める』共同要望当協会は,2018年4月16日付けで,日本鉄鋼連盟が『電気料金抑制を実現するエネルギー・温暖化政策を求める』と題し提唱した共同要望への賛同要請に対し,ものづくりを中心とした154の電力多消費産業団体と共に賛同し,政府,関係方面への共同要望を行い,第5次エネルギー基本計画および地球温暖化対策への配慮を強く求めた。共同要望は,以下の通り。1エネルギー問題は,国民生活と事業活動の基盤となる極めて重要な政策課題であり,安全性を大前提に,安定供給・経済効率性・環境適合性を考慮したバランスの取れた政策を今後とも実現する必要がある。とりわけ,デフレ脱却と経済再生に向けて,個人消費の拡大はもちろん,民間投資の一層の拡大や活力ある地域経済の再生が求められるなか,経済合理的な価格での安定したエネルギー供給の実現が不可欠である。2一方で,東日本大震災から8年が経過した現在も,産業界には電気料金上昇の負担の重さが増すばかりであり,熾烈な国際競争に臨む多くの我が国企業にとって,その負担が足枷となっている。また,地方経済を支える電力多消費型の中小企業を中心として,電気料金上昇に耐え切れず,倒産・事業撤退するケースが累増している。3加えて,今後とも電気料金が高止まりを続けるなどの懸念が払拭できない場合,国内と比較して電気料金が低い海外への移転に一層拍車がかかるなど,民間企業,とりわけ製造業の基盤が失われることになりかねない。その結果,国内の経済活動が縮小するのみならず,将来にわたって我が国の雇用機会を喪失させることにもなる。4エネルギー基本計画の見直しをはじめ,エネルギー・温暖化政策をめぐる議論が展開されている折,産業界の電気料金負担を十分に抑制する諸施策を講じていただきたい。共同要望書において訴えた「産業界の電気料金負担を十分に抑制する諸施策を講じていただきたい」との主張については,当初,政府審議会において示された原案から,主に以下の追記・修正が行われ成果を得ることができた。【エネルギー基本計画閣議決定版における原案からの主な変更点】1第2章第1節「4.二次エネルギーの構造の在り方」に以下の文章を追記(P24)「我が国の電気料金は,こうした化石燃料調達の増加に伴うコスト拡大を背景に,国際水準に照らして家庭用・産業用ともに高い状況が続いており,エネルギーコスト面での日本の国際競争力がより劣後する懸念が高まっている。」「電気料金負担の抑制に努め,産業の国際競争力等の確保につなげていく必要がある。」2第3章第4節「(3)4層の実行シナリオ」から以下の文章を削除(P103)「東日本大震災以降,石油石炭税・電促税の負担に加え,地球温暖化対策税・FIT制度負担が加わり,これらを総合すれば,既に年間3兆円規模に上る。」⇒FITは税と同列の財源ではないことに加え,2050年に向けた(2030年以降の)文脈で現行の財源(3兆円)を与件とされた場合,これを確保するための増税等(電気料金負担の抑制に逆行)が正当化されかねない懸念がある文章の削除。b.『国民負担の抑制と再エネの最大限の導入の-181-鉱山第778号2019年8・9月