ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

一律の負担で積み上がり,減ることはない。また安価な夜間電力にも等しい単価が課され,操業時間に工夫を凝らしてきた製錬所の電気料金が大幅に上昇し,電力多消費産業である非鉄製錬の事業活動に甚大な影響を与えている。国には,電力多消費産業の国際競争力の維持・強化の減免制度趣旨から外れるような事案が改正FIT法に在ることに加え,スマート社会の実現に寄与している非鉄金属素材・高機能材料の安定供給やリサイクル事業の推進,循環型社会構築といった我が国の産業発展や社会貢献に対する当業界の存在意義を勘案のうえ,国内の非鉄製錬所の維持・存続には8割減免の維持は必須であることなどを訴え,今後も再生可能エネルギー賦課金減免措置の維持・拡大と不断の検証,見直しを強く要望していく。(3)大手電力会社に対する要望活動省エネルギー部会と電気委員会の合同会議において,2018年度の大手電力会社に対する電気料金に関する要望事項を検討し,2018年12月のエネルギー委員会に諮って以下の通り決定した。(ⅰ)原子力発電の信頼回復と早期再稼働による一刻も早い電気料金の抜本的値下げ(ⅱ)燃料,工事等の調達コストの低減化による電気料金単価上昇の最大限抑制(ⅲ)大口需要家及び長期契約者の発電投資抑制に対する貢献にインセンティブを与える需給調整制度メニューの創出,割引メニューの多様化,割引率のアップ(ⅳ)大口需要家及び長期契約者に対する契約変更への柔軟な対応日本鉱業協会及び会員企業主要8社は,2018年12月から2019年1月にかけて,電気事業連合会及び大手電力8社(東北電力,東京電力エナジーパートナー,中部電力,北陸電力,関西電力,中国電力,四国電力,九州電力)に対して要望書を手渡し,内容が実現するよう要望活動を行った。大手電力各社からの回答は,以下の通りであった。・2018年は,災害が多かったが,少しずつ原発再稼働も明かりが見え始めた。ただし,安全の確認された原発再稼働は進んでは来ているものの,BWRについてはこれからになる。・原発再稼働を早く果たすことが,お客様の要請にこたえることになると認識しており,最善の努力をする。・個々の特約などの条件については,個社毎で交渉願うこととなるが,従前より非常に大きなお力添えをいただいていることもあり,真摯に対応することが電力各社の方針。・災害など非常時の安定な電力供給に関しても,政府も国大での取り組みを,具体化させるべく議論がなされつつある。ここ10年以内は政策上競争による制度化や改革であったが,昨今の災害対応などの状況も踏まえ,安定・信頼を確保するよう投資のあり方も整理する状況であり,年明け以降具体的に進展することになる。電事連としても,お客様の期待に沿えるよう,あらゆる形で発言もし,安定供給を目指すよう取り進める。災害現地での差配で困難さはあるが,連携対応はできている。ただし,今後,分社化し発送電分離となっても,同様な体制を維持強化できるかは,将来に向けた課題である。日本鉱業協会としては,この現状を許容せずに,高止まりする電気料金の値下げを,電力会社に対して粘り強く訴え続けていく。(4)電力多消費産業団体,ものづくり産業団体による共同要望活動2018年度,経産省では,次期エネルギー基本計画の見直しが,総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で検討され,平行して2050年の長期目標を視野に入れたエネルギー情勢懇談会で,海外を含めた有識者からの意見も取り入れた議論が行われた。他方,環境省では,排出量取引制度や炭素税といったカーボンプライシングの導入に向けた検討を進め,外務省では有識者懇談会の下で再エネ比率拡大等の提言を行う動きがでてきており,予断を許さない状況が顕在化している。鉱山第778号2019年8・9月-180-