ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

続可能な開発目標(展開))やESG(環境(Environment),社会(Social),ガバナンス(Governance)の頭文字)投資推進の動きを,地球温暖化対策と企業や業界価値の向上につなげるという将来のありたい姿実現に向けて,ポジティブな対応を図ることとしている。1.2電気事業者の2018年度実績(1)大手電力会社の電力需給量及び2018年度決算状況資源エネルギー庁の2018年度電力需給速報によると,新電力を含む電気事業者の販売電力量は,対前年度比1.2%増の8,525億kWhであった。旧一般電気事業者(大手電力)の販売電力量は,7,401億kWhで,8年連続で前年度実績を割り込む一方,新電力の販売電力量は,1,226億kWhで,販売シェアは前年度の11.8%から14.4%に上昇した(2018年度の特別高圧の割合が6.8%,高圧の割合が23.3%,低圧の割合が11.4%)。2016年4月の電力小売りの全面自由化から3年を経過し,大手電力会社から新電力会社への切り替えが進んでいるとみられ,特別高圧・高圧,低圧の各圧力種ともに変動しつつも,ほぼ増加傾向となっている。億kWh9,5009,0008,5008,0007,5007,0008,8948,8269,1948,8898,5859,0648,5988,516 8,4858,2307,9717,8347,6087,401(各大手電力会社,電気事業連合会,資源エネルギー庁のHPからのデータを基に作成)図1年度別電力需要実績(10社計)2018年度の大手電力会社10社の決算情報を下表に示す。電力需要(販売電力量)は減少したが燃料費調整による販売単価の上昇を受け,10社すべてが増収となった。各社は経営効率化を図っているが,燃料費調整のタイムラグによる差損の拡大が収支の悪化要因となって,北海道電力,東京電力と北陸電力を除く7社が経常減益となった。大手電力表1大手電力各社の2018年度決算概況売上高(億円)売上高前年度比増減率(%)経常利益(億円)経常利益前年度比増減率(%)販売電力量(億kWh)販売電力量前年度比増減率(%)北海道7,5222.630155.4228▲8.2東北22,4338.3657▲25.7689▲0.6東京63,3838.32,7658.52,303▲4.2中部30.3506.41,129▲12.11,183▲2.6北陸6,2294.566149.2261▲9.1関西33,0765.62,036▲6.21,1782.2中国13,7694.7126▲58.7529▲4.5四国7,3720.8251▲10.3233▲7.3九州20,1712.9525▲28.7722▲5.9沖縄2,0544.852▲37.775▲4.0合計206,3766.27,912▲7.17,401▲3.6(各大手電力のHPからのデータを基に作成)(2)原子力発電所の再稼働状況2018年度での原子力発電所の再稼働は,電力料金引き下げに寄与が大きく,また2020年のベースロード電源としての期待もあり,産業界からの加速要望にもかかわらず,スムーズに進んでいない状況が続いている。震災後8年が経過しているが,2019年2月現在,規制委員会の審査に15基が合格し,内9基が再稼働しており,関電,九電の様に再稼働を受けて電力料金の引き下げを実施し,値下げ予定の電力会社もでてきたが,燃料調整費の上昇やFIT賦課金の増額もあり,震災前と比較して大きく高止まりしている。また,停止している原子力発電所のうち,現在再稼働しているのは全てPWR(加圧水型原子炉)であり,今後BWR(沸騰水型原子炉)の再稼働が進むか否か注目される。一方,高裁レベルでは取り消されているものの,運転差し止めの仮処分決定が地裁レベルで複数なされている等,司法リスクも依然として存在する。当協会としては,電力会社には,さらなる経鉱山第778号2019年8・9月-176-