ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

析を行い,三者の結果から契約で定められた方法に従い(分析値の近い二者の間の平均値を用いる場合が一般的),品位が決定される。このような仕組みのため,鉱山,製錬所及び第三者分析機関の間で,秤量,サンプリング,水分測定,試料調製法及び成分分析方法を国際的に標準化して統一していくこと(又は,基準的な方法を定めていくこと)は,国際商取引を円滑に実施していくために極めて意義が大きい。そこで,分析部会では,ISO/TC183及びその国内委員会を通じて,銅・鉛・亜鉛・ニッケル鉱石及び精鉱のサンプリングや分析方法に関する国際規格の制定活動に積極的に取り組んでいる。現在,非鉄金属地金の需要は,中国の消費拡大に伴い,堅調に推移している。さらに,長期的には,中国以外の新興国の発展に伴い非鉄金属の需要,生産の増加が見込まれ,先進国においても自動車の電動化に伴い銅の需要が増大すると予想されている。一方,原料供給は,金属価格が高値であることを背景に新鉱山の開発の動きはあるものの,鉱山開発の高コスト化(鉱山の奥地化,粗鉱品位の低下及び不純物増加,環境対策費の増加等)や資源ナショナリズムを背景に必ずしも順調に伸びていかないと予想されている。そのため,今後も非鉄資源獲得をめぐる国際競争は継続し,日本の様な輸入鉱を原料とする非鉄金属製錬産業(Custom Smelter)にとっては増々厳しい環境となる可能性が高い。よって,分析やサンプリング等,信頼性のある日本の技術を国際標準化によりアピールすることは今後も安定した資源確保を行うために,非常に重要である。TC183は,銅・鉛・亜鉛・ニッケル鉱石及び精鉱のサンプリングと分析方法に関する一連の国際規格を審議しているISOの専門委員会である。次にその概要を示す。委員会名発足幹事国議長参加国(2019年(令和元年)7月現在)ISO/TC183の概要銅・鉛・亜鉛・ニッケル鉱石及び精鉱(Copper, lead, zinc and nickel oresand concentrates)1983(昭和58)年オーストラリアMr. Mark O’Dwyer(オーストラリア)P-メンバー(国際規格案投票の権利を有し,業務に積極的に参加する):11カ国Australia,Brazil,Chile,China,Kazakhstan,Netherlands,Germany,Japan,Poland,Russian Federation,United KingdomO-メンバー(オブザーバーとしての参加):23カ国日本の地位P-メンバー(発足時より現在まで)部会数作業部会(WG):総数24(活動中9)検討部会(SG):総数10(活動中3)制定ISO数27個別の規格の制定は,作業部会(WG)や検討部会(SG)により行われる。以下にWG及びSGの状況を示す。アンダーラインは現在活動中の部会WG 1銅精鉱中の金,銀の定量方法(乾式融解-灰吹-AAS/重量法)WG 2銅精鉱中の金,銀の定量方法(乾式融解-焼溶-AAS法)WG 3銅精鉱中の銅の定量方法(滴定法)WG 4銅精鉱中の銅の定量方法(電解重量法)WG 5鉛精鉱中の鉛の定量方法(融解-硫酸鉛沈殿-逆滴定法,酸分解-硫酸鉛沈殿-EDTA滴定法)WG 6亜鉛精鉱中の亜鉛の定量方法(イオン交換分離-EDTA滴定法,溶媒抽出分離-EDTA滴定法,水酸化鉄分離-EDTA滴定法)WG 7鉛精鉱中の金,銀の定量方法(乾式融解-焼溶-AAS法)WG 8亜鉛精鉱中の金,銀の定量方法(湿式分解-ICP/AAS法)WG 9サンプリング,試料調製及び水分測定方法WG10統計計算,コンビナーズマニュアルWG11輸送水分の測定方法WG12秤量-173-鉱山第778号2019年8・9月