ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

(コンビナー:ブラジル)本法は,共同実験試料の提供が少なく,スコープを銅精鉱に限定して規格化することとなっていた。今回の会議でオーストラリアの一部から共同実験試料を提供すること及び燃焼法等の他の分析方法も規格化すべき,とのコメントが出されたものの,議論の結果,本規格は技術的に還元気化-原子吸光法に基づくものであり,銅精鉱については,Stage B共同実験も実施済みであることから,直接DIS化することとなった。今後DIS投票が行われる予定である。・WG21:銅,鉛,亜鉛,ニッケル精鉱中の全塩素の定量方法(コンビナー:ブラジル)2018(平成30)年度に実施したアルカリ融解(炭酸ナトリウム/炭酸カリウム融解)-電位差滴定法による鉱石及び精鉱中の全塩素定量法のStage B共同実験について,詳細な解析結果が報告された。日本は,「共同実験試料の均一性に問題があること」「ジルコニウムるつぼを800℃のマッフル炉で加熱するとるつぼ寿命を著しく損なうこと」等を指摘した。その他の国からも指摘やコメントが出されたものの,総じて実験の統計解析結果は良好であり,CDをスキップしてDIS投票を行うことで各国とも一致,2019(令和元)年8月から投票が開始された。・WG24:イオンクロマトグラフィーによるふっ素及び塩素の定量方法(コンビナー:中国)中国国内で広く利用されている精鉱中のふっ素・塩素の水蒸気蒸留-イオンクロマトグラフィーによる定量方法について討議するWGである。シドニー会議では,中国より2016(平成28)年以降の活動と各種分析方法の検証に関する説明が行われ,日本は「銅精鉱の分析方法と,鉛及び亜鉛精鉱の分析方法が一部異なることから,同一の分析方法(アルカリ融解-水蒸気蒸留分離法)に統一すべきである」と提案した。各国からもコメントが出され,その結果,現状のWD案を修正後,TC183の正式な文書として登録し,Stage B共同実験を行うこととなった。また,別途,日本と中国で共同実験用試料を交換して双方の分析方法で結果をクロスチェックし,問題点を明確にすることも確認した。・SG4:高含金精鉱の前処理方法(コンビナー:オーストラリア)金高含有試料の分析精度を改善するために,試料均一性を確保する前処理を含めた規格化の制定を検討するSGである。今回の国際会議ではコンビナーより,銅品位の変動を指標とする前処理時の試料酸化の検証方法(試料の酸化による試料採取量の変化に起因した分析値の負の誤差の検証)について提案があり,共同実験が実施されることとなった。日本は,「ほとんどの鉱石には影響はなく,自然金粒を含む一部の高品位精鉱に対して本方法は適用されるべきであり,コンビナーの所属会社の精鉱が適している」とコメントした。今後,SG10(試料保管期限の検討)をSG4に合併して継続的に活動し,得られた成果はISO 12743の改訂に繋げる予定である。Ⅱ効率化を考慮した鉱石分析方法の統一化,標準化に関する研究日本鉱業振興会から助成を得て,2017(平成29)年度から2019(平成31)年度まで,題記テーマの活動に取り組んでいる。研究の目的及び概要は以下の通りである。1試験研究の目的銅,鉛,亜鉛やニッケル等の原料は,ほとんどを輸入に頼っており,その輸入原料の分析は各社の業績へ影響しかねない重要な業務であり,日本鉱業協会分析部会は分析の信頼性確保のため,JIS,協会法及びISOの策定を進めてきた。一方,分析作業の効率化も重要な課題であり,信頼性及び分析業務の効率化の両方を確保するため,これまで各社の分析所は,独自にJISやISO等とのバリデーションを行いながら,ICP発光分光分析装置(以下ICP-OES)による多元素の一斉定量や自動滴定装置による省力化も図ってきた。鉱山第778号2019年8・9月-170-