ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

2018(平成30)年度から2020(令和2)年度まで経済産業省から助成を受けて活動を行う予定の「銅,鉛及び亜鉛精鉱中の銀,ひ素及びカドミウム及びふっ素定量方法」が関連するWG及びSGはWG13(銀),SG5(ひ素),WG23(カドミウム)及びWG16(ふっ素)で,各グループの活動経緯と2018(平成30)年度の活動状況は以下の通りである。・WG13:銅,亜鉛精鉱中の銀の定量方法(コンビナー:日本)酸分解-原子吸光光度法(以下,AAS法)/ICP発光分析法(以下,ICP法又はICP-AES法)による銅精鉱及び亜鉛精鉱中の銀の定量方法(以下,湿式分析法)のISO化を検討している。しかし,認証物質の認証値や乾式分析値と湿式分析法による分析結果が一致しなかったことから,今回改めて,過去の実験結果等について確認を行ったところ,これらの差の要因は,共同実験で使用した認証物質が酸化や水分付着などにより変質したことによるものであることが疑われた。よって,この確認のため,未開封の認証標準物質及びWG17の共同実験試料を用いて乾式分析と湿式分析を同時に実施するとともに,試料開封後一定期間経過後に再分析を行う共同実験を国内にて行うことを計画し,その旨2019(平成31)年3月に行われた国際会議で報告を行い,承認された。・SG5:銅,鉛,亜鉛精鉱中のひ素の定量方法(コンビナー:日本)精鉱中のひ素については,ISO 13547-1及び13547-2が制定されているが,JIS M 8132(鉱石中のひ素定量方法)の王水-臭素分解法が規定されていないため,JIS法をISO化すべく本SGを立ち上げた。これまでの日本国内における共同実験により効果が得られたマトリックスマッチングや内標準法を採用した臭素分解法(水酸化鉄共沈-ICP法)により2018(平成30)年6月に国内16ラボが参加した共同実験を行い,その結果,既存ISOに比べて,精度が優れていることを確認した。また,同年9月には国内15ラボが参加した共同実験を実施し,その結果,この臭素分解法(直接-ICP法)によりひ素以外の多くの不純物元素(銅精鉱:Bi,Cd,Co,Mo,Ni,Pb,Sb,Tl,亜鉛精鉱:Bi,Ca,Cd,Co,Cu,In,Mg,Mn,Ni,Tl,鉛精鉱:Cd,Cu,Mn,Tl)も,ひ素と同時に定量できる可能性があることを確認できたことから,これらの結果及び2017(平成29)年度に実施した共同実験結果を2019(平成31)年3月の国際会議で報告,臭素分解法が既存ISOよりも精度が優れた分析方法であることをアピールし,同会議にてSG5のスコープを複数成分に拡大することが了承された。・WG23:銅,鉛,亜鉛,ニッケル精鉱中のカドミウムの定量方法(コンビナー:中国)銅・鉛及び亜鉛精鉱中のカドミウムの定量方法をWD19976-1:AAS法,WD19976-2:ICP-AES法としてISO化を検討しているWGである。これまでに,日本は提案されたWD19976-2(ICP-AES法)にはマトリックスマッチングが採用されていないこと,前処理操作が長いことを指摘し,CD案に盛り込むことに成功した。2018(平成30)年3月にDIS 19976-1,DIS 19976-2ともにDIS投票が行われ,この時に寄せられたコメントへの対応後,2019(令和元)年7月に発行された。2020(令和2)年度,これをJIS M 8124(鉱石中の亜鉛定量方法)及びJIS M 8135(鉱石中のカドミウム定量方法)に盛り込むこととしている。・WG16:銅,鉛及び亜鉛精鉱中ふっ素の分析方法(コンビナー:日本)日本鉱業協会規格のアルカリ融解-直接イオン電極法をベースとした国際規格の制定を目指している。本法は,特別な分析装置が無くても分析が可能な方法であり,海外の鉱山をはじめとして広く国際的に適用可能で受け入れやすい分析手法であると考えられる。2018(平成30)年度は国内関連6分析所で共同実験を実施し,国際規格としての提案に堪え得る分析方法の技術的確認のためのバックデータを蓄積した。国内共同実験では異常値は認め鉱山第778号2019年8・9月-168-