ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

テリアルバランスの最適化を図るべく,各生産拠点の連携強化を推進し,より効率的な有価金属の回収体制の構築に取り組んでいる。2.住友金属鉱山ポマラプロジェクトは,インドネシアスラウェシ島における,コーラルベイ,タガニートに次ぐ第3のHPAL(低品位酸化ニッケル鉱の湿式処理)プラント建設プロジェクト。2019年度中に終了予定のDFS(Definitive FeasibilityStudy)により投資の可否を意思決定し,参入を決定した場合,2020年代半ば頃の操業開始を目指す。これによりニッケル生産量15万t/年のターゲット実現に向けて更に一歩前進する。また,電池リサイクルの事業化(バッテリーtoバッテリー)に向け,2019年3月,廃リチウムイオン二次電池中のニッケル・コバルト・銅についての新リサイクルプロセスパイロットプラントの稼働を開始した。事業化が実現すれば,国内において持続可能な循環型社会の形成がより一層進み,世界的な資源枯渇に対する資源循環に大きく貢献することになる。3.JX金属資源開発事業,チリのカセロネス・プロジェクトについては,2018年5月,プロジェクトをより機動的かつ一元的に管理する専門組織を設置し,操業の安定化,生産性向上及びコスト管理に一層注力した。その結果,当期は操業成績が大きく改善するとともに,大幅なコスト削減を実現した。チリのロス・ぺランブレス鉱山において,設備増強計画の実行を決定し,建設工事を開始した。また,製錬事業については,各製錬所において効率化・コスト削減施策に取り組み,さらなる競争力強化に努めた。環境リサイクル事業については,廃リチウムイオン電池のリサイクルの事業化に向けた技術開発を進めるとともに,他社との協業も含め,国内外におけるビジネスモデル構築のための検討を開始した。これらの取り組みは,循環型社会の形成に資するものである。4.DOWAホールディングス貴金属銅事業は,製錬・リサイクル複合コンビナート機能の深化に向けて,小坂製錬㈱においてリサイクル原料など多様な原料の処理を推進するとともに,すずの実収率向上に取り組んだ。PGM(白金族)事業は,欧州やアジアの拠点を活用し,使用済み自動車排ガス浄化触媒の集荷を拡大した。亜鉛事業は,亜鉛の増産に向けて,秋田製錬㈱において原料中の不純物の除去設備の建設に着手した。また,タイの拠点を活用し東南アジア向けに亜鉛合金を拡販した。自社製錬所向け原料の長期的な安定確保のため,メキシコ・チワワ州のロス・ガトス銀・亜鉛・鉛プロジェクトでは鉱山の建設工事を推進し,アメリカ・アラスカ州のパルマー亜鉛・銅プロジェクトでは探鉱活動を進めた。環境負荷低減技術の構築に関しては,近年リサイクル原料由来によるハロゲン負荷増加の影響が発生していることから,事前にハロゲンを除去するプロセスや,ハロゲンを有効活用できるプロセスの開発に取り組んでいる。5.三井金属鉱業18年度金属部門決算概況。亜鉛地金は高耐食性メッキ鋼板向需要が堅調に推移したものの,一般亜鉛メッキ鋼板向需要が輸入品増もあり低調であったこと,また鉛地金は国内鉛蓄電池向需要,自動車補修用需要が堅調であったが輸入品増加による影響等により,亜鉛・鉛共に販売量が減少した。亜鉛・鉛共にLME(ロンドン金属取引所)価格が総じて下落基調で推移したこともあり,売上高は前期比減少した。16中計期間において,亜鉛・鉛製錬における競争力強化に向け,難処理鉱やリサイクル原料の製錬工程への供用技術,および製錬工程中間品や廃棄物からの有価金属回収に関する技術開発等を行い,19年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「19中計」を策定した。19中計期間にて「13,16中計の収穫」「19中計での成長戦略の実行」「変革を促す将来への布石」を実行することにより,2024年のありたい鉱山第778号2019年8・9月-164-