ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

及び解析を実施している。物理探査では,これまで開発してきた高精度電磁探査装置(SQUITEM3号機)を活用し,オセアニアのプロジェクトで既知鉱化帯の南方延伸や新たな探鉱余地の存在を明らかにした。1.2(一財)宇宙システム開発利用推進機構(J-spacesystems)による技術開発J-spacesystemsは,旧ERSDACがこれまで実施してきた国からの受託研究である石油・天然ガス及び金属鉱物資源探査への衛星データ利用技術開発等を継続して行った。このうち「石油資源遠隔探知技術研究開発(ハイパースペクトルセンサ等の研究開発)」では,国際宇宙ステーションに搭載されるハイパースペクトルセンサHISUIを想定して,ハイパースペクトルデータによる鉱物の識別・同定技術の研究開発を進めた。「希少金属資源開発推進基盤整備事業」では,WebGIS(Webブラウザ上で地理空間情報の操作,表示,共有のできるシステム)を利用した資源探査支援システムGRIAS(Global ResourceInformation Archive System)の運用を行い,ユーザに衛星解析画像,鉱物資源情報の利用サービスを提供した。GRIASに追加されたコンテンツは,物理探査データ,アジア地域の各種地質・鉱物資源データ,スペクトルデータベース及び岩石IP電気物性データベースである。ユーザの要望に応え,オフラインでデータを利用できるようGRIASのデータ及び検索アプリをHDDに保存し利用に供した。1.3日本鉱業協会による技術開発日本鉱業協会資源部会では,2016(平成28)年度より3年間の計画で,産業技術総合研究所と共同で「海底熱水鉱床試料の比抵抗測定方法の標準化に関する研究」を実施している(日本鉱業振興会助成事業)。本事業では,海底熱水鉱床探査の強力なツールとして期待される電気・電磁探査法が求める比抵抗構造を適切に解釈して海底下の地質環境を正確に把握するため,海底下を想定した条件で岩石試料の比抵抗を測定する方法の確立を図っている。これまでの研究から,海底熱水鉱床試料の比抵抗は周波数特性を示す場合が多いことが確かめられた。そこで,2018(平成30)年度は実際の海底熱水鉱床試料に対し,海水と同じ塩分濃度の塩水で飽和させ,周波数領域での複素比抵抗を測定し,比抵抗と位相の周波数特性を求めた。また,時間領域でのIP測定も行い,比抵抗と充電率を求めた。そして,それらの測定データを他の物性データや化学分析データとともに電子ファイルにまとめ,WEBのブラウザで各種データが検索や表示ができるようなデータベースを作成した。それらのデータを検討した結果,硫化鉱物が含まれる試料は低比抵抗を示す傾向はあるが,間隙率や変質の影響が大きく,比抵抗だけでは鉱石と非鉱石との識別は難しいと判断された。一方,位相や充電率は,硫化鉱物が含まれる試料ほど大きくなる傾向が認められた。海底熱水鉱床の探査では,周波数領域や時間領域のIP法電気探査が有効な調査手法になることが示唆された。2.採鉱技術2.1企業による技術開発(1)McClean Lake鉱山(海外ウラン資源開発㈱)開発中のウォータージェット式ボアホール採掘法の,採掘効率向上を目指した機器改良プロジェクトを実施中であり,2019(令和1)年末の完成を目指してサブパイプを装備した大口径採掘管や,トップドライブシステムを製作中である。2020(令和2)年に実施を計画している採掘試験に向けて,鉱床深度までのボアホール掘削を2018(平成30)年に完了し,2019(令和1)年は新たに製作した制御ソフトウェアを用いた高圧ポンプ及び周辺システムの試運転,さらに新規製作した採掘機器の統合品質試験を実施する計画である。鉱山第778号2019年8・9月-162-