ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

財務非鉄大手8社2018(平成30)年度連結決算概況<業界全体>当期の世界経済は,米国の保護主義的な通商政策による貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)からの離脱問題等の影響が懸念される中で,米国経済が牽引役となり,成長のペースは鈍化したものの,全体としては緩やかな回復基調で推移した。米国では良好な雇用情勢を背景に減税効果もあり,個人消費や設備投資が堅調に推移し,景気は緩やかな拡大を続けた。中国では自動車販売を中心とした個人消費の低迷や設備投資の伸び悩み等により,景気は減速傾向で推移した。タイ,インドネシアでは緩やかな回復が見られた。一方,わが国経済は,相次ぐ大規模自然災害による影響はあったものの,人手不足や設備の老朽化に伴う省力化・効率化に向けた設備投資など,国内需要は底堅く,堅調な企業収益を背景に,雇用・所得環境は改善が持続し,個人消費は持ち直しの動きが見られる等,緩やかな回復基調で推移した。非鉄金属相場は,銅価格は期初6,756ドル/トンであったが,世界最大の銅鉱山におけるストライキが懸念されたことにより,6月には7,263ドルまで上昇した。その後,ストライキ懸念の収束,米中間の通商摩擦拡大による景気減速懸念等を背景に急落し,6,000ドル前後で推移したものの,2019年1月以降,米中摩擦緩和への期待感等から上昇に転じ,当期末時点では1トン当たり6,485ドルとなった。亜鉛価格は期初3,285ドル/トンでスタートしたのち,米国の保護主義政策等の要因から徐々に値を下げ,7月以降はさらに一段下落し,9月には一時2,300ドル/トンを割る水準となった。その後は米中の貿易摩擦の緩和期待やLME指定倉庫在庫量の減少などもあり値を戻したものの,期中平均では2,746ドル/トンと前期(3,054ドル)を下回る結果となった。鉛価格は期初2,400ドル/トンでスタートしたのち,亜鉛同様に値を下げ,期中平均では2,122ドル/トンと前期(2,379ドル)を下回った。銀価格は,期初16.5ドル/トロイオンスでスタートしたのち,当初は16ドルから17ドルの間で推移したものの,7月以降は米ドル高の影響もあり値を下げ,期中平均では15.4ドル/トロイオンスと前期(16.9ドル)を下回った。為替相場は,日米間の金利差などを背景に円安ドル高傾向で推移したが,世界的な景気減速懸念から更なる円安ドル高の進展に歯止めをかけたことから,平均為替レートはほぼ前期並みとなった。このような事業環境の中,非鉄大手8社の2018(平成30)年度決算は,8社合計(JXTGホールディングス㈱は金属セグメントの決算値のみを集計。以下同じ。)の売上高は4兆9,827億円(前期:4兆8,917億円,前期比+1.9%)とわずかではあるが増収となったものの,親会社株主に帰属する当期純損益は1,343億円(前期:1,404億円,△4.3%)と減益となった。2019(令和元)年度の業績予想は,各社とも2018(平成30)年度と同レベルの非鉄金属価格及び為替相場を前提として,売上高4兆9,543鉱山第778号2019年8・9月-152-