ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

ページ
152/278

このページは 鉱山2019年8・9月号 の電子ブックに掲載されている152ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

鉱山2019年8・9月号

セレン(セレニウム)I.世界の需給(表1参照)セレンはその特徴として,それ自体が銅やニッケルの副産物であるため,その供給は直接,銅やニッケル(ニッケルの場合,銅よりはその程度は低いが)の生産の影響を受ける。米国地質調査所の調査によれば,2018年では,世界のセレン地金生産は前年比微増と推定された。同調査所の統計では,中国が2016年から掲載され,920~950tとなっているが,実態を把握するのはかなり困難で,1,000~l,500tとの見方が一般的である。また,米国や韓国などが実績に含まれておらず,世界生産は3,500~4,000tと推定されている。鉱石品位の低下も懸念されるが,銅生産は増加の見通しで,2019年も世界計は同程度の生産量と考えられている。中国では,電解マンガンがセレンの主用途であり,二酸化セレンは電流効率と析出速度を上げるために,マンガン電解のプロセスでかなり大量に使用されている。中国での電解マンガン向けのセレン消費は近年増加していると考えられ,とくに電解マンガン生産者は2017年には,2016年に報告された47から51に増加したと言われている。インドでも経済成長によりガラス添加材,顔料向けの需要が安定しているほか,飼料などの用途が伸びているとみられる。Ⅱ.米国の需給米国での一次セレン地金は銅の電解精錬から回収したアノードスライムから精製した。米国で操業する2銅電解精錬所のうち,一つはテキサス州で一次セレン地金を生産している。もう一つはアジアで委託精錬される半精製セレンを輸出している。米国のガラス製造では,セレンは容器用ガラスや他のソーダライムシリカガラス中の鉄不純物による緑色の色合いを脱色するために使用され,また,太陽の熱伝達を低減するために建築板ガラスに使用される。硫セレン化カドミウム顔料はルビーレッドの色を生成するためプラスチック,セラミック,ガラスに使用される。セレンは,1選択的酸化を増強するため触媒でも使用され,2外観と耐久性を向上させる目的からめっき液中で使用され,3美容的外観を表1世界のセレン地金生産(単位:t)2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年18/17(推定)(%)米国-----------カナダ173793514415915915417649502.0ベルギー2002002002002002002002002002000.0ドイツ7006506506507007006607003003000.0フィンランド65606093100949496105100▲4.8スウェーデン-------10020200.0セルビア・モンテネグロ-----------チリ709090707541-----メキシコ-----------ペルー454559505049404545450.0インド-----------日本7807536307557607827737527297502.9フィリピン656565--------ザンビア-----------ポーランド---809090908788902.3ロシア1401401451451501451351451501500.0中国n.a.n.a.n.a.n.a.n.a.n.a.n.a.9209309502.2トルコ--------50500.0その他433846505050504747506.4合計2,2812,1201,980n.a.n.a.n.a.2,2003,2702,7102,8003.3(注)1997年より米国は公表せず。出所:Mineral Commodity Summaries, January 2019(米国内務省地質調査所編)鉱山第778号2019年8・9月-144-