ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

表2世界のビスマス地金生産れる。ビスマスは,セラミックグレーズ,クリスタルウェア,真珠光沢顔料等の製造にも使用されている。1996年の「安全飲料水改正法」(1998年8月以降,すべての飲料水供給用の治具とパイプが,新規,修繕にかかわらず,無鉛化されることを要求した法律)はビスマスを鉛フリーの管継手,備品,水道メーターへの冶金添加物として承認した。その結果,ビスマスの市場が米国内で拡大した。ビスマスは消火スプリンクラーのトリガーメカニズムとして,また光学レンズを研削するためのホールディングデバイスに使用されている。ビスマス-テルル酸化合金膜ペーストは,半導体デバイスの製造に使用される。ビスマス含有の新旧の合金スクラップが米国でリサイクルされており,米国国内のビスマスの見掛け消費の5%未満(約110t)を形成すると推定されている。Ⅲ.ビスマスの埋蔵量(単位:t)国名2016年2017年2018年18/17(推定)(%)米国----ブルガリア-50500.0カナダ2525250.0中国14,00013,50013,000▲3.7日本42852559012.4カザフスタン1402702700.0ラオス2,0002,0002,0000.0メキシコ539513340▲33.7ロシア4---合計17,10016,90016,000▲5.3(注)米国は公表せず。2016年のカナダと中国は推定。出所:Mineral Commodity Summaries, January 2019(米国内務省地質調査所編)重量億当たり推定8部のビスマスは,地球の地殻中の元素充溢(じゅういつ)で69位にランクし,金の約2倍も豊富である。ビスマスの世界の埋蔵量は,通常,ビスマス生産が処理中の鉛鉱石の副産物であることが最も多いため,鉛資源のビスマス含有量に基づいている。中国とベトナムでは,ビスマス生産はタングステンと他の金属鉱石処理の副産物もしくは副生成物である。ビスマス鉱物はめったに主要製品として採掘されるのに十分な量では発生しないが,ボリビアのタスナ鉱山と中国の某鉱山は,ビスマス鉱石からビスマス生産のみ採取する唯一の鉱山である。しかし,タスナ鉱山は1996年以降生産停止中である。Ⅳ.国内の需給1.ビスマス地金生産(表3,図1参照)2018年の国内ビスマス地金生産量は対前年比11.8%増の547tとなった。一方,輸入量は国内生産好調により減少した。生産されるビスマス地金のほとんどは鉛銅精鉱に含まれる微量なビスマス分を製錬工程の副産物として回収しており,精鉱の品位に応じて変動する。精鉱における品位の上昇,実収率の向上などにより生産量が増加した。国内の生産量は2016年に底を打ち,回復傾向となっているため,国内の需給バランスは改善に向かうことが予想されている。2.ビスマス地金消費(表3,図1参照)2018年のビスマス地金の見掛け値ベースの内需は前年比14.7%減の558tと2年連続で低下,報告値ベースでも前年比11.3%減の403tと4年連続で前年実績を下回り,需要が回復する気配が2018年では見られなかった。報告値ベースの内需は,低融点合金向けが2016年に大幅な落ち込みを見せていたものの,2017年以降ははんだ生産の増加を受けて回復しており,2018年は昨年比21.0%増の109tとなったが,それ以外の需要分野はすべて低調だった。ただし,ビスマス酸化物の需要が,2019年に入って好調との話もあり,2019年では需要の底上げが見込まれている。ビスマスの国内用途別シェアでは,図1からも分かる通り,2018年では低融点合金が需要分野で一人気を吐いたことから,2017年の20%から27%へ上昇した。そのため,他の需要分野は,減少か,もしくはほぼ横ばいとなった。ちなみ鉱山第778号2019年8・9月-140-