ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

ビスマスⅠ.世界の需給(表1,2参照)米国地質調査所の刊行資料「MineralCommodity Summaries」は2018年度版から,ビスマスの地金生産量を載せ,ビスマス鉱石生産量は掲載しなくなった。2016年分から地金生産として表も新しくなっている。表2の米国地質調査所の資料によれば,2018年では,ビスマス地金生産は前年比5.3%減と2年連続で減少した。これは2018年に中国で施行された新しい環境政策により,多くのビスマス製錬所が閉鎖された結果であった。一部は,検査のために一時的に,また一部は違反により永続的に閉鎖された。しかし,操業中の製錬所は生産量を増やし,閉鎖による生産の損失を相殺した。それにより,同国は前年比3.7%の減にとどまった。一方,世界のビスマス地金需要の大半を占める中国需要は2018年半ばから弱含んでおり,輸出も減少した。2018年の中国の輸出量は,4,016tで前年比21%減となった。ただし,生産者が金属からビスマス酸化物にして販売するケースが増えているため,ビスマス酸化物の需要は堅調に推移している。Ⅱ.米国の需給米国は1997年に一次精製ビスマスの製造を中止しており,輸入依存度が高い。ビスマスは,国内で採掘された鉛鉱石に含まれているが,国内主要鉛製錬所は2013年末に閉鎖され,すべての鉛精鉱は現在製錬用に輸出されている。2018年では,ビスマスの見掛け消費額は約2,500万米ドルだった。2018年5月,米国内務省は,他の行政機関と連携して,ビスマスを含む35の重要な鉱物リスト(83 FR 23295)を公表した。このリストは,大統領令13817「重要な鉱物の,安全で信頼できる供給を確保するための連邦政府の戦略」に従って(82 FR 60835),最初の重要鉱物を確認するために編纂された。米国内のビスマス消費量の約3分の2は,化粧品,工業用,実験室用,製薬アプリケーション等の化成品向けである。医薬品におけるビスマスの使用にはビスマスサリチレート(市販用胃薬の成分)が含まれ,他のビスマス化合物は火傷,腸障害,胃潰瘍を治療するために使用さ表1世界のビスマス鉱石生産(単位:t)国名2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年(推定)米国----------オーストラリア----------ボリビア15015050901005010101010カナダ1907190909212135333中国3,5005,0006,0006,5007,0007,0007,5007,6007,5007,400日本----------韓国----------メキシコ1,2001,170900850980940824948700700ペルー9509601,0001,100------ロシア------40404040旧ソ連----------カザフスタン140150150150------ベトナム-------4,9502,0002,000その他1702001012013077----合計6,3007,7018,2008,9008,3008,2008,40013,60010,30010,200(注)米国は公表せず。2016年まで。2017年から地金生産を掲載出所:Mineral Commodity Summaries, January 2017(米国内務省地質調査所編)-139-鉱山第778号2019年8・9月