ブックタイトル鉱山2019年8・9月号

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概要

鉱山2019年8・9月号

【海外】1.市況ニッケル2018年のLMEニッケル相場は米中貿易摩擦を契機に年後半には世界経済に悪影響を及ぼす懸念が次第に高まるなかを続落した。(第1表参照)2018年1月のLMEニッケル相場は$12,000/t台でスタートし,2~3月にかけては堅調な需給推移を背景に2015年6月以来の高値圏となる$13,000台で推移した。2017年の世界ニッケル需給バランスは前年の▲46千tから▲134千tへと供給不足幅が拡大し,在庫は前年比38%減少するなどタイト化を強めた。一方,米国経済は拡大局面が続くなか,国債市場では長期金利が上昇し,景気や株価に及ぼす悪影響が懸念されたため,2月には株価がリーマンショック時を抜く史上最大の下げ幅を記録した。景気の過熱を沈静化すべく米連邦準備制度理事会(FRB)は2018年1回目の利上げに踏み切った。しかし,3月にはトランプ米大統領が安全保障上の脅威を理由に鉄鋼,アルミニウムに追加関税を発動し,対象国に中国も含まれた。さらに,中国が知的財産権を侵害しているとして,中国製品に対する制裁関税を課す大統領令に署名した。LMEニッケル相場はその後も続伸し,6月には2015年2月以来となる$15,000台に乗せた。4月19日のLMEセレクトのニッケル相場は$15,710で2014年12月以来の高値へと急伸した。電気自動車(EV)ブーム到来に伴うリチウムイオン電池(LIB)正極材向けニッケル需要の急増の予想も投機人気を煽った。さらに,米国が4月,ロシアへの追加制裁を発表し,デリパスカ氏傘下のUCルサールも制裁の対象とされた。これを受けて,LMEとCMEは同社のアルミニウムの取引禁止を決定し,アルミニウム価格が急伸。同社はノリリスクニッケルの株主でもあることから,ノリリスクが制裁対象となる可能性も憶測された。米国経済も引き続き好調に推移し,FRBは6月に2回目の利上げを実施した。一方,米中貿易摩擦は4月に入って中国が米国の鉄鋼,アルミニウム輸入制限に対抗して米報復関税を発動,6月には米国が対中制裁関税を発表した。表1ニッケル価格推移表LMEセツルメント価格LME在庫為替輸?価格($/t)($/1b)(千円/t)(t)(¥/$)(千円/t)2014年平均16,8687.651,802.4414,900106.851,745.62015年平均11,8355.371,444.4441,342122.051,644.62016年平均9,5984.351,054.2372,066109.841,044.92017年平均10,4074.721,177.9366,612113.191,203.22018年平均13,1185.951,461.7206,400111.431,498.42018年1?12,8805.841,440.8355,266111.861,327.82?13,5776.161,479.3335,508108.961,363.23?13,4046.081,435.2320,268107.071,411.54?13,9356.321,511.1306,762108.441,391.85?14,3546.511,589.6287,646110.741,517.86?15,1116.851,677.8271,806111.031,546.37?13,7726.251,547.7254,262112.381,598.68?13,4336.091,505.6238,494112.081,624.59?12,5275.681,414.4228,210112.911,586.010?12,3275.591,403.1218,868113.821,595.111?11,2535.101,286.9212,844114.361,542.012?10,8374.921,230.1206,400113.511,476.72019年1?11,4555.201,259.8201,702109.981,371.72?12,6505.741,409.0196,782111.381,338.83?13,0615.921,466.0182,466112.241,362.8(出典)Metals Week, Metal Bulletin,三菱UFJ銀?, ?本貿易?表鉱山第778号2019年8・9月-122-