ブックタイトル鉱山2019年7月号

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概要

鉱山2019年7月号

末期に岩佐巌博士と後藤亀吉氏が銅精錬所を開設するため,元々3つに分かれていた島の山を削り,埋め立てによってひとつの島にしたことから,契島という名前になったと言われているそうです。1899年から銅精錬所として稼働を開始し,1940年に銅製錬を休止後,鉛製錬を開始し,1950年に東邦亜鉛が買収して現在に至っております。●2010年に豪州CBH Resources Ltd.(亜鉛,鉛鉱山)を完全子会社化。●現在の契島製錬所の勤務者数は,正社員180名,協力会社約80名の260名体制で,4直2交替の操業を行っている。単身管理職,地方出身社員,若い妻帯者の一部は契島に住んでいるが,ほとんどの勤務者は船で近隣から通勤している。2.東邦亜鉛と契島製錬所の沿革●1937年に日本亜鉛製錬株式会社として設立し,安中製錬所を建設。●1941年に社名を東邦亜鉛株式会社と改める。●亜鉛製錬では,多量の鉛が副生成物として出ることから,1950年に東邦亜鉛が昭和鉱業から契島製錬所を買収し,翌年から鉛生産を開始。●1963年に小名浜製錬所を建設。(焙焼硫酸設備の稼働開始)●1966年に藤岡製錬所を建設,銑鉄製造から翌年に電解鉄の製造を開始。●契島製錬所において,1964年から金,銀,ビスマスの生産を開始,1966年から濃硫酸生産を開始,1971年から脱硫操業を開始し,1981年に脱硫方式を同和法へ変更。●1973年に小名浜製錬所において,電炉ダスト等からの酸化亜鉛製造設備の操業を開始。1980年から使用済みニッカド電池処理事業を開始。●1986年から契島製錬所において,バッテリーリサイクルを開始し,1994年に電解工場のシステム強化,2014年に脱硫煙突ミストコットレルを新設。電気鉛生産量10万トン/年,電気銀生産量400トン/年の能力体制へ。●契島製錬所において,1999年にISO9002(品質),2002年にISO9001(品質)を取得,2001年にISO14001(環境)を取得し,グローバルな品質保証体制を確立した。●2005年に中国天津市に鉛リサイクル合弁会社「天津東邦鉛資源有限公司」を設立。3.契島製錬所の鉛製錬工程(原料と製品)の概要と事業内容●原料となる鉛精鉱は,主に鉛60%,硫黄18%,鉄6%,亜鉛5%,銅1%,その他10%からなる粉状で,豪州の関連会社のCBH社や,中南米から輸入している。多種多様な鉛精鉱を混合鉱として焼結機に投入し,空気を吹き込みながら硫化鉛を徐々に酸化反応させて,酸化鉛の握りこぶし大の焼結鉱に加工し,排ガスは硫酸工程へ送っている。現時点で焼結機を保有する国内鉛製錬所は,契島だけになった。●熔鉱炉では,焼結鉱とコークス等の2次原料を1200℃でスラグ反応させて,粗鉛とシリカや酸化カルシウム,酸化亜鉛を含むスラグに分離する。排ガスは硫酸工程へ送っている。熔鉱スラグは,水洗スラグとして回収し,生野島にある堆積場に運んでいる。●一方,鉛蓄電池を一次処理した巣鉛は,コークスや鉄源と一緒にキューポラ炉に投入し,空気を吹き込みながら,スラグと粗鉛に分離する。排ガスは,洗浄塔とバグフィルターでCFダスト(2次原料)を除去し,脱硫設備を経て石膏になる。最近は,鉛蓄電池処理量が増加してきており,鉛精鉱の購入を絞った操業を行っている。●粗鉛は,1.5%前後の硫黄と銅を含んでおり,脱銅鋳造工程において,330~350℃に保持をして,銅分をドロスとして回収している。精製された鉛は鋳造機でアノードに加工される。●アノードは,鉛電解工程で7日間かけて,鉛カソードと銀と有価金属を含むスライムに分鉱山第777号2019年7月-54-